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医薬開発、日本の実力は(創論・時論アンケート)

日本経済新聞は毎週日曜日、国内外の重要なテーマについて各界の論客の意見を紹介する「創論・時論」を掲載しています。これにあわせて電子版では読者アンケートを実施しています。今回の質問は(1)日本の医薬研究開発の現状や課題をどのように考えるか(2)米国立衛生研究所(NIH)を参考にした「日本版NIH」に何を期待するか――です。皆さんのご意見をお聞かせください。選択肢にない回答などもコメント欄で受け付けます。

政府は2015年春、米国の医薬研究開発の司令塔として知られる米NIHを手本に「日本版NIH(日本医療研究開発機構)」を設立する計画です。首相が本部長を務める健康・医療戦略推進本部と密接に連携し大学や研究機関、企業の研究を素早く新薬に結びつけるのが最大の狙いです。

まず、日本の医薬研究開発の現状や課題をどう考えているか、読者の考えをうかがいます。米NIHのような組織を日本にも作ろうという案は過去にもありましたが、関係省庁が多く利害調整が難航して幻に終わっています。今回は政府が強力に推進しており、実現する見通しです。そこで、日本版NIHに何を期待するかもお聞きします。

医薬分野の研究開発というと、12年にiPS細胞の作製でノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授を思い浮かべる人も多いでしょう。ほかにも、融合遺伝子と呼ばれる特殊な遺伝子が、非小細胞肺がんの決定的な原因となることを突き止めた東京大学の間野博行教授は世界的な評価を得ています。

ところが、日本では先端技術を使った新薬の普及は遅れています。日本の製薬会社はニーズにこたえきれず、医薬品は約1兆6千億円の輸入超過です。世界市場における日本の製薬会社のシェアはトップ10位に入りません。上位は米欧企業が占めています。

間野教授の成果を使った新薬も、米ファイザーが最初に韓国で臨床試験を実施し11年8月に米食品医薬品局(FDA)の承認を得ました。日本で承認されたのは12年3月で発売は5月です。新薬の承認が海外に比べて遅れることを「ドラッグ・ラグ」と呼び、解消を求める声が強まっています。国内には大規模な臨床試験ができる病院が少なく、被験者を集めにくいほか審査そのものが遅いことなどが承認の遅れを招いているとされます。

高齢化が進み医療費が増大するなか、海外企業に利益を吸い上げられていいのか。基礎的な研究と、実際に治療に使う臨床応用とをつなぐトランスレーショナル・リサーチにもっと力を入れるべきではないか。そんな考えから、日本版NIH計画が浮上しました。

米NIHは首都ワシントン近郊の広大な敷地に27の研究所やセンターが集まっています。所長は大統領が指名し議会の承認を得ます。政府全体の戦略や議会の要望も取り入れて研究計画を練ります。大学などに研究助成もします。臨床試験の専門病院があり、研究情報を積極的に出して被験者を頻繁に募っています。

そのまま日本でまねるのは無理で、内閣官房健康・医療戦略室長の和泉洋人・首相補佐官は「日本版NIHは米NIHと似て非なるもの」だと言います。当面は既存の臨床研究の拠点病院や研究機関の連携を強め、「バーチャルな研究開発ネットワーク」で新薬の臨床応用の加速を目指します。

トランスレーショナル・リサーチが強調されるあまり、大学などの研究者からは「基礎研究がおろそかになるのでは」と懸念も出ています。研究者にもやる気を出させつつ、成果を効率よく新しい薬や治療法につなげるにはどうしたらよいか。工夫のしどころです。

 アンケートは電子版会員を対象に1月8日(水)まで実施します。結果は1月12日(日)の電子版と日本経済新聞朝刊に掲載します。アンケートへのご回答は日経電子版のパソコン画面からお願いします。ログインすると回答画面が現れます。電子版の携帯電話向けサービスやスマートフォン用の画面からは回答いただけません。会員でない方はこちらから登録できます。

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