汚染水の新型浄化装置、再び運転停止 福島第1原発
東京電力は28日午前、福島第1原子力発電所の汚染水から放射性物質を取り除く新型浄化装置「ALPS」で不具合が発生し、運転を停止したと発表した。ALPSは汚染水問題の切り札とされているが、腐食の発生などトラブルが相次ぎ、本格稼働が遅れている。今回も27日午前0時すぎに試験運転を始めたばかりだった。
汚染水から取り除いた放射性物質をタンクから排出する部分で問題が生じた。放射性物質を含む泥状の沈殿物を流し出す仕組みだが、出口での沈殿物の排出流量が減少していた。沈殿物の詰まりなどが考えられるが、原因は不明という。不具合の理由がわかるまでALPSの運転を停止する。
福島第1原発のタンクにたまっている汚染水には63種類の放射性物質が含まれているが、ALPSはこのうち62種を取り除ける。当初は昨年秋に稼働する予定だった。
汚染水問題の解決には浄化が不可欠で、政府はALPSの9月中の稼働を求めていた。
ALPSは現在、3基あり、最も新しく試験運転をしていなかった1基を27日に動かし始めた。
汚染水は毎日400トンずつ増え、いまはタンクなどに約35万トンたまっている。ALPSの本格稼働が遅れれば、汚染水処理計画が狂い、問題は深刻化する。
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