人類、なぜ直立二足歩行に進化したの? 「プレゼント仮説」も

2010/5/1 7:00
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地球上に最初の生命が誕生したのは約40億年も昔。そこから生物は進化を繰り返し、様々な種類に枝分かれしてきた。その中で人類は他の動物と違い、両手を巧みに使って道具を作り、脳を高度に発達させて言葉を話し、文明を築いた。そのきっかけは「直立二足歩行」をするように進化したこと。なぜ、そんな進化が起きたのだろう?

Q 二足歩行する動物はいっぱいるよ。

A そうだね。ときどきする動物も入れると、チンパンジーなど類人猿やカンガルー、鳥類など。恐竜にもたくさんいた。でも脚と胴体を地面に対して垂直に立てた直立二足歩行は人類だけ。ペンギンもそう見えるけど、実はイスに座ったときのようにひざを曲げた状態で歩く。直立はすごく珍しいんだ。

Q それが人類の進化に大事だったの?

A 国立科学博物館の馬場悠男名誉研究員(元人類研究部長)は「直立二足歩行がすべての始まり。これがなければ人類の今はなかった」と話している。まず直立して両手を使うようになり、その後だいぶたってから脳の発達や道具の製造、言語などにつながったんだ。約600万年前のアフリカにいた人類の祖先、猿人はすでに直立していて、約300万年前には完全な直立二足歩行になったそうだよ。

Q どうして直立二足歩行するようになったのかな。

A いろいろな説があって、決定的なものはない。ただ、馬場先生によると、物を運ぶようになったからという「運搬説」が有力なんだ。人間でいうと中腰のような前かがみの格好で重い物を長く運ぶのはバランスが悪くて大変。だけど直立して運ぶのはそれよりも楽だからね。

Q いったい何を運んだの?

A オスがメスに気に入ってもらおうとして、食べ物を持って行ったという「プレゼント仮説」が考えられているそうだ。「子育て仮説」とも言う。子供を育てているメスのところにせっせと果物や肉を運んだのかもしれない。また、原始的な道具として木の棒や石を持ち歩いたという説もあり、両方の説が同時に起こった可能性もあるそうだよ。

Q どうして直立二足歩行に進化するのは珍しいのかな。

A 人類の場合、その前に森の木の上で暮らしていたことが関係しているそうだ。馬場先生は「樹上生活で関節が軟らかくなったから直立が可能になった」と話している。樹上では脚で木をつかむなど体がぐにゃぐにゃと自由に動くと便利で、いろいろな方向に動く軟らかい関節が有利だった。

特に直立に関係するのは股(こ)関節だ。今の人間は当たり前のように、脚を前方に上げたり直立したり、後ろや横にも動かせる。これは股関節が軟らかいから。でもふつう四足歩行の動物はこんなに自由な関節ではなく、動く方向や角度が限られる。人類は軟らかい関節という準備ができていたおかげで、地上に降りてから直立二足歩行に進化できた。もともとは樹上生活の進化が、地上生活でも役に立ったわけだね。

(編集委員 賀川雅人)

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