2019年1月24日(木)

2人の「京大・北川教授」が相次ぎ開発 CO2吸収材に注目

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2010/7/5 7:00
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「多孔性金属錯体(PCP)」と呼ぶ材料が今、世界中で注目されている。地球温暖化の元凶ガスである二酸化炭素(CO2)を吸収する特性を持つPCPが相次いで登場したからだ。開発したのは京都大学の2人の北川教授。それぞれ実用化を目指して研究に取り組んでいる。

京都大学工学部の北川進教授

京都大学工学部の北川進教授

PCPは金属と有機物でできた物質で、数個の分子が入る程度の微細な穴が規則的に開いている。酸素の濃縮や化学反応の触媒など様々な用途が期待されており、学術論文の発表件数は年間2000件以上という。

研究が盛んなPCPへの注目がさらに増しているのは日本発の成果のためだ。京大工学部の北川進教授は科学技術振興機構(JST)のプロジェクトで空気の中からCO2を優先的に取り込み、簡単に放出・回収できるPCPを開発した。この材料は、イソフタル酸とビピリジンという2種類の有機物を金属の亜鉛でつなぎ、ビルディングのような構造が特徴だ。

圧力で伸縮するPCPのイメージ。柱がビピリジン、仕切り板がイソフタル酸でできており、亜鉛がつないでいる(北川進京大教授提供)

圧力で伸縮するPCPのイメージ。柱がビピリジン、仕切り板がイソフタル酸でできており、亜鉛がつないでいる(北川進京大教授提供)

ビルの柱に相当するビピリジンが大気圧では縮まり、ビルは押しつぶされているが、圧力を最大10気圧に高めると柱は約0.4ナノ(ナノは10億分の1)メートルに伸びて小さな部屋ができる。このPCPに酸素と窒素、CO2を同量混ぜたガスを当てたところ、CO2だけを部屋に取り込んだ。圧力を大気圧に戻すと部屋は縮まってCO2を放出するので分離・回収できる。成果は今年5月、英国王立化学会の論文誌に掲載され、世界が注目するところとなった。

PCPの中では、吸収したガスの分子とPCPの分子との間で「ファン・デル・ワールス力」という弱い分子間相互作用が働く。沸点が高いガスほどこの力が強くPCPに吸着されやすい。沸点はCO2が絶対温度195度、酸素が同90度、窒素が同77度。「この違いでCO2だけを分離できた」と北川工学部教授。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトでは企業と実用化の研究にも着手した。参加するのは昭和電工と東洋紡、昭栄化学工業(東京・新宿)、JX日鉱日石エネルギー、住友化学。「JSTのプロジェクトで得られた基礎的な成果をうまくNEDOの応用研究につなげられた」という。

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