理研と鳥居薬品、花粉症ワクチン開発に着手
理化学研究所と鳥居薬品は共同で、スギ花粉症の発症を防ぐワクチンの開発に乗り出す。スギ花粉症は日本人の2割以上がかかっているとみられているが、根本的に治療するための薬はない。理研の成果をもとに新薬の製造・販売を目指す。
開発するワクチンは、スギ花粉を抗原と認識して起きるアレルギー反応を抑える。花粉の遺伝子に、ポリエチレングリコールと呼ぶ物質をくっつけて微小カプセルで包んだ構造とする。
花粉が飛び始める前に投与すれば、特定の免疫細胞の働きが強まり、鼻水やかゆみなどを引き起こす物質が過剰に出るのを防いでくれるという。これまでも花粉の抗原になる部分のエキスを投与してアレルギー反応を抑える方法はあったが、アナフィラキシーショックと呼ぶ強い急激なアレルギー反応を起こす恐れがあった。
開発するワクチンは、ポリエチレングリコールを抗原の遺伝子にくっつけることでアナフィラキシーショックを防げるのが特徴。理研はマウスの実験で安全性と効果をすでに確認している。
今後は鳥居薬品の化合物作製技術を活用し、人体に投与できるワクチンを開発する。2年後には協力病院の医師による臨床研究を始め、結果を踏まえて臨床試験(治験)に進む計画だ。
スギ花粉症の症状を抑えるステロイド剤や抗ヒスタミン薬などの市場は3000億円以上といわれる。スギ花粉症患者は毎年2%程度増えている。