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黄砂が運ぶ微生物 日本や太平洋に飛来、健康にも影響?

日経サイエンス

黄砂シーズン本番だ。3月20日の春分の日には関東や東北地方などでも黄砂が観測された。都市を包み込む黄砂は視界を悪くして飛行機など交通に影響を与え、屋根や車に降り積もり洗濯物を汚す。健康にも悪影響を及ぼす。ぜんそくや花粉症を悪化させることが疫学調査や動物実験などから示唆されている。

近年、黄砂に知られざる事実が隠されていることがわかってきた。黄砂は指でつまむのも難しいが、微生物、例えば数マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの細菌にとっては、ボートほどの大きさになる。細菌の100分の1くらいのウイルスにとっては客船といっていいほどのサイズだ。金沢大学の研究グループなどの調査によると、様々な微生物が黄砂に乗り、中国内陸から日本まではるばる4000キロメートルも旅しているようだ。

黄砂に付着した微生物などたかがしれていると思われるかもしれないが、量が半端ではない。中国内陸の乾燥地帯で舞い上げられる黄砂の総量は年間数億トン、日本まで飛んでくるものでも数百万トンと推定されている。個数に換算したら天文学的な数になり、その1割にでも微生物が乗っていたら、やはり天文学的な数の微生物が海を渡ってきていることになる。その中には有益な微生物もいるが、アレルギーや食中毒の原因となる細菌もいることがわかってきた。ただし、健康にどれほどの悪影響を及ぼしているのかはよくわかっていない。黄砂はときに北米大陸にも届くので、太平洋を渡る微生物もかなりいる可能性が高い。

黄砂は雲粒を作る能力があるが、微生物が付着していると、その能力が増強される可能性がある。黄砂の動きは人工衛星からも捉えられるスケールなので、雲の生成に微生物が与える影響もグローバルになる。中国内陸では砂漠化が進んでおり、黄砂の発生量が増せば、こうした効果もより大きく出るかもしれない。

黄砂を微生物と関連づけた研究は始まったばかり。現在はジグソーパズルのピースがどれほどあって、それぞれどのような形をしているのか調べているところだ。そうしたピースを集めて組み合わせると、いったいどのような絵が浮かび上がるのか、まったくわかっていない。

(詳細は25日発売の日経サイエンス5月号に掲載)

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