スパコン京、2位に転落 米IBM「セコイア」が最速に - 日本経済新聞
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スパコン京、2位に転落 米IBM「セコイア」が最速に

(更新)

理化学研究所と富士通が共同開発中のスーパーコンピューター「京(けい)」が、18日に発表になったスパコンの性能ランキングで世界最速の座から転落、2位になった。首位は米IBM製「セコイア」。計算速度は毎秒1京(京は1兆の1万倍)6000兆回余りで、京の約1.6倍だった。

9月に本格運用を始める京は今後、速度を上げる開発はしない。2009年の政府の事業仕分けで「なぜ2位ではだめなのか」と話題になったが、世界一は約1年で終わった。

欧米の大学などが半期ごとに発表するスパコン性能ランキング「TOP500」の最新版によると、ローレンス・リバモア国立研究所に設置されたセコイアが初登場でトップになった。軍事関連の精密シミュレーションなどに使用するもよう。

スパコンは大量の電気を使う。セコイアは京に比べて半分の電力消費量で計算ができ、施設規模も小さい。速度以外の性能面でも京を上回った。

ランキングではIBM製が上位10位の半数を占め、強さをみせつけた。前回2位だった中国の「天河1号A」は計算速度が変わらず5位に後退した。

スパコンは科学技術力を示す指標として各国が開発に力を入れる。米国や中国などでは軍事目的に使うことが多い。

2000年代半ばまで同じスパコンが首位を2年以上続けていたが、ここ数年は開発競争が激しい。今回の京のように1年以内で世界一を転落するケースが目立つ。

京の速度は前回(昨年11月)と同じ約1京回。「ポスト京」の開発計画もあるが、実現は早くても20年ごろ。理研は当面、自動車の安全技術や創薬、新材料開発への活用を見据え、本格運用と同時に産業界への利用を開放する。

約1100億円を投じた国の科学研究施設を、開設当初から企業に使わせるのは珍しい。今月15日に締め切った最初の有償利用の希望には、1時間最大100万円の利用料にもかかわらず5件の応募があった。

この1年、製造元の富士通にとってスパコン事業における京の効果は大きかった。京の商用機は国内では東京大学や神戸大学など5団体が採用。海外でも京の商用機を含むスパコン全体で、オーストラリア国立大学など10件以上の商談が成約した。富士通のスパコン事業の売上高は年200億円程度で、15年には約1千億円に伸びる見込み。

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