福島第1原発 電源接続、放水並行で作業難航
冷却装置復旧に全力

2011/3/18 23:42
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東京電力福島第1原子力発電所では、原子炉内を冷やすための電源工事が始まった。電力系が回復すれば燃料が冷え、放射性物質が飛び散る最悪の事態を防げるとの期待が広がる。一方、工事中に感電の恐れもある放水作業も中断は許されず、緊迫した作業が続く。

福島第1原発は、原子炉内の燃料棒と原子炉建屋に保管する使用済み核燃料の双方で、過熱の危機に直面している。使用済み核燃料は放水に着手。次に原子炉の冷却機能の回復に向け、電源の復旧が焦点となっている。

原子力発電所には、緊急時に備えた「緊急炉心冷却装置(ECCS)」がある。設計通りなら、福島第1原発でも緊急停止した炉内に大量の水を注ぎ、「冷温停止」という安全な状態になるはずだった。ところが津波で電源が壊れ、冷却機能が働かなくなった。

東京電力が18日に始めた電源工事は、原発建設時に使った東北電力の電線を再活用し、まず1、2号機に電線をつなぐ。2号機の電源が戻れば、隣の1号機も分電盤を介して復旧できる。原子炉内に水を注ぐポンプや本来の様々な冷却機能を働かせることができる。

作業は難航が予想される。2号機周辺には毎時20ミリシーベルトと高い放射線量を示す場所がある。工事完了は早くて19日午前になる見通しだ。

また東電は18日、原発の立地地域や県の住民らへの対応作業を本格化するため、22日から鼓紀男副社長を福島市内に駐在させると発表した。

今後の電源復旧作業は1、2号機で原発敷地に残っていた6900ボルトの変圧器から約1.5キロメートルの高圧電線を敷設。分電盤が唯一使える状態の2号機に引き込む。

3~6号機の電源は、東電の新福島変電所から引き込む。3、4号機は仮設分電盤を積んだ車などを乗り入れ、20日の完成を目指す。5、6号機は送電線の鉄塔が倒れたため別の鉄塔を経由する必要があり、さらに遅れる可能性がある。

ただ電源工事を終えても、すぐに冷却が始まるわけではない。まずポンプの作動や建屋の漏電を確かめる。復旧後は消防車のポンプよりも短時間で大量の水を原子炉圧力容器に注げる。全ての機能が正常に稼働した場合は、原子炉を安全に保てる可能性がある。

1~3号機では原子炉圧力容器の水位が燃料棒を下回る。燃料棒を水に浸せば、原子炉の破損や放射性物質の放出を抑えられる。また電源が動けば、使用済み核燃料プールへの給水も見込める。ただ実際にプールへの給水が始まるには時間がかかるとみられる。

京都大学原子炉実験所の釜江克宏教授は「揺れで機器が損傷した可能性は少ない。電源さえあれば冷却は可能では」と指摘する。原発の新耐震設計審査指針からも最大限耐えられたはずとみる。ただ「津波や爆発の影響で動かない可能性はある」という。

また日本原子力技術協会の石川迪夫最高顧問(前理事長)は18日記者会見し、福島第1原発で放射線量が抑えられるまでにかかる時間は電源復旧が進んでも「スリーマイル島事故の例からみて、少なくとも1週間はかかる」との見方を示した。

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