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風速75メートルの衝撃解明へ ミニ竜巻の発生装置

国土技術政策総合研究所(茨城県つくば市)などの研究グループはミニ竜巻を人工的に発生させる装置を開発、これを使った実験を始めた。近年、竜巻の突風による建物などの被害が相次いでいる。実験で危険度評価などの研究を進め、被害の軽減に役立てる狙いだ。

竜巻発生装置は建築研究所、東京大学、京都大学と共同開発した。直径1.5メートルの円筒状の装置本体が高さ約2.3メートルにつり下げられており、この下に竜巻を人工的に起こす。

本体の送風機が中央部で下から空気を吸い上げる。そしてこの空気流を本体外周部のすき間からリング状に吹き下ろす。空気流は装置内の羽根で向きを変えて斜めに吹き下ろすようになっているため、らせん状に旋回する下降流になる。これが再び中央部で吸い上げられ、旋回しながら上昇する竜巻ができ上がる仕組みだ。

送風機の回転速度や羽根の角度などを調節すると、生まれる人工竜巻の大きさや特性も変化する。研究用の竜巻発生装置は従来もあったが、新装置は竜巻の再現範囲が広く、様々な変化を付けられるのが特徴という。

また、現実の竜巻は同じ場所にとどまっているわけではなく、移動している。静かな状態の建物に接近し、急激な突風としてぶつかる。新装置はこれも模擬できる。実験の際は本体下、つまり竜巻を作るところの台上に建物の模型やセンサーを置くが、本体は横に移動可能なので、台上の竜巻も移動させることができる。

日本では米国ほど巨大な竜巻は発生していないが、それでもたびたび被害が出ている。昨年は茨城県、群馬県、秋田県などで、今年も新潟県、千葉県などで起きた。2006年には国内では大規模な、藤田スケールで「F3」という竜巻が北海道佐呂間町で発生し、大きな被害となった。

藤田スケールは竜巻などの突風の被害から風速を大まかに推定する指標で、Fの次の数字が大きいほど被害が大きい。F0はテレビのアンテナなどが倒れる程度、F3は家が倒壊したり自動車が吹き飛ばされたりし、風速(秒速)は70~92メートルと推定される。

今回の装置で作るミニ竜巻は半径5~15センチメートル、風速15メートルまで可能。これにより半径数十メートル、風速75メートルといった規模の竜巻も模擬できるという。

国土技術政策総合研究所の喜々津仁密主任研究官は「今後、装置を活用して、瓦など飛散物による衝撃リスクを定量的に評価する」考え。また「竜巻が通過する際に屋根に作用する風力特性を把握する」計画。窓やシャッターが開いたままだったり、物がぶつかって大きな穴が開いたりすると、通過のとき室内の圧力も変化するため、実験の建物模型ではこうした壁面の開口部も考慮が必要という。

(つくば支局長 賀川雅人)

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