進まぬ東電再建と原発収束 福島の避難住民に難題

(1/2ページ)
2013/5/20 7:00
保存
共有
印刷
その他
5月28日、東京電力福島第1原子力発電所事故で福島県双葉町に設けられていた避難区域が再編される。これにより事故直後から設定されていた警戒区域が消滅し、福島の復興に向けた道のりは一つの区切りを迎える。しかし、区域再編に向けた住民の判断は苦渋の選択が続いた。東電の再建と福島第1原発の収束。福島県の避難住民は2つの難題に直面している。

警戒区域が消滅へ

警戒区域の解消後、福島県の避難区域はバラバラに分かれる(原子力災害対策本部の資料)

警戒区域の解消後、福島県の避難区域はバラバラに分かれる(原子力災害対策本部の資料)

警戒区域が設けられたのは、事故から1カ月あまり経過した2011年4月22日。災害対策基本法による警戒区域が原発事故で設定されたのは初めてで、福島第1原発から半径20キロ圏内が対象になった。9市町村の住民約7万8000人が強制避難を余儀なくされ、自由な立ち入りができなくなった。警戒区域の再編が始まったのは12年4月から。1年2カ月を経てようやく解消できたことになる。

区域再編が決まった5月7日、双葉町の伊沢史朗町長は「再編で生活再建のための賠償の取り組みができることは評価する」と語った。警戒区域が設定された当初から、放射線量が低い地域については、早期の解消を求める声が出ていた。政府も原発事故からの復興を加速するため、住民帰還につながる区域再編を急ぐはずだった。

しかし、この流れは政府が12年7月に賠償基準を発表したことで変わった。基準では、事故から6年を経過しても帰還できない場合は家屋などの不動産を全額賠償するとした。区域再編と賠償額が連動する形になり、避難区域のうち比較的放射線量が高い双葉町や大熊町、浪江町、富岡町の住民からは事故から6年間は帰還を断念するよう求める意見が増した。警戒区域の再編後は「帰還困難区域」「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」の3つに分かれるが、住民らは帰還が5年以上できない「帰還困難区域」として町内全域を設定するよう強く求めたのだ。

賠償額抑える思惑も

ところが、政府はこの要望を拒絶。富岡町や浪江町などは当初策定した復興計画案の見直しに追い込まれたほか、双葉町では町長が交代した。少しでも賠償額を減らして東電の再建を進めたい政府の思惑が働いたと見る関係者は多い。その結果、放射線量に応じて市町村がバラバラに刻まれた避難区域ができあがった。双葉町のある住民は「避難から2年が経過して家の傷みは激しく再び住むことなんてできない。福島第1原発もトラブルが相次ぎ、安心して帰還ができるわけがない」と不満を口にする。避難区域再編と福島第1原発の挟み撃ちで住民は苦しい立場に追い詰められている。

  • 1
  • 2
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]