放射性物質、あわてずに備えよう

2011/3/15付
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福島第1原子力発電所2号機から放射性物質が出れば、多くの住民が被曝(ひばく)する。放射線を浴びすぎると細胞の遺伝子が傷つき、がんなどを引き起こす。身を守る3原則は、放射性物質や放射線から「距離をとる」「当たる時間を短くする」「遮へい物で遮る」だ。ぬれたタオルで口や鼻を防いだり、換気をやめて家の外に出ない、などが重要になる。

放射線医学総合研究所はホームページで、今回の福島第1原発での事故に対応し、一般向けに放射線対策をまとめた特設コーナーを設置している(http://www.nirs.go.jp/information/info.php?116)。

■年間100ミリシーベルトで人体に影響

放射線を体に受けることを被曝(ひばく)といい、量は「シーベルト」と呼ぶ単位で表す。人間は地球上で生活していれば、1年間に2.4ミリシーベルト前後の放射線にさらされる。病院で胃のX線検診を受けても1回で0.6ミリシーベルトの放射線を浴びる。自然や医療行為以外で人間が受けても支障のない放射線量の基準は、1年間に1ミリシーベルトまでとされる。実際に人体に影響が及ぶのは年間100ミリシーベルト前後といわれる。

1986年4月に旧ソ連で起きたチェルノブイリ原子力発電所の事故では、原発の作業従事者約20万人が100ミリシーベルト、発電所近くの27万人が50ミリシーベルト、発電所周辺30キロメートル圏内の11万6000人が10ミリシーベルトの放射線を受けたと言われている。

99年9月に茨城県東海村で起きたJCO臨界事故では、作業員2人が建物の中で推定6~20シーベルトの強い放射線を浴びて亡くなった。

放射線自体は距離につれて弱まる性質があるため、現時点では福島県から100キロ以上離れた東京周辺では大きな不安はない。

ただ、放射性物質を吸い込んだり飲み込んだりすると、肺などに付着したまま放射線を出し続ける。体内が被曝し続けることもあるため、気をつけなければならない。防止のため屋内に退避して、換気扇やエアコンを止め、窓やドアをすべて閉じる措置が必要だ。

多量の放射線を受けた場合は、まずヨウ素剤と呼ぶ薬剤を飲む。放射性物質の一種であるヨウ素は、体内に入ると甲状せんに蓄積する性質がある。あらかじめ放射性を持たないヨウ素剤を飲んで甲状せんに十分にためれば、体内に入った放射性のヨウ素は甲状腺にたまることができず、尿とともに体外に排出される。

自治体や保健所が保管するヨウ素剤(ヨウ化カリウム)を服用することは予防策になる。

■皮膚・傷の汚染、命に直結せず

体に放射性物質が付くと、周囲に放射線を出し続ける。除染という措置が必要になる。

汚染した服をビニール袋に入れ、体の汚染した部分を洗い落とす。最寄りの救護所で汚染度合いと部位を測ってもらい除染をしてもらう。

医療関係者向けマニュアルでは、ぬれガーゼなどを使い中性洗剤でふき取るか、ブラシなどでこする方法を紹介している。マニュアルは「皮膚や傷の汚染が直ちに患者の生命にかかわることはほとんどない」ともしている。落ちついた行動が求められる。

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