京大のiPS細胞特許、米で成立 応用研究に弾み
クロスライセンス交渉で有利に

2011/8/11付
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京都大学は11日、山中伸弥教授らが開発した新型万能細胞(iPS細胞)の作製技術に関する特許が米国で成立したと発表した。米国は世界の医薬品市場の約4割を占めiPS細胞を創薬や再生医療に応用する研究も活発だ。今回の特許成立は京大が米企業・大学などとクロスライセンス交渉を進めるのにも有利で、国内の応用研究加速につながると期待される。

8月5日付で米特許商標庁から通知を受けた。iPS細胞の作製技術に関する特許は国内や欧州でも成立済み。内容は多少異なるが米国と合わせて6カ国2地域で成立したことになる。米国での権利期間は国際出願した2006年12月6日から20年間。審査が伸びた分の日数が追加されるため、特許が切れるのは27年6月25日の見通しだ。

京大は有力特許を保有することにより、米企業などが技術を独占するのを防ぎやすくなる。京大から特許使用権を供与された研究者や企業が訴訟などを恐れずに研究に取り組め、医薬への応用に役立つとみている。

成立したのは「Oct類」「Klf類」「Myc類」など3種類の遺伝子を、皮膚細胞など「体細胞」に入れてiPS細胞を作る方法に関する特許。Oct類とKlf類の2種類の遺伝子と、細胞間で情報をやりとりする「サイトカイン」と呼ぶたんぱく質を使う方法に関する特許も同時に認められた。

国内で成立した特許は「Oct3/4」や「Klf4」など特定の遺伝子に限定されているが米国の特許は類似の遺伝子も対象で、より広い範囲で認められた。欧州で7月に成立した特許は3種類の遺伝子がつくるたんぱく質も含んでおり、米国よりもさらにより権利範囲が広い。

山中伸弥教授は「創薬分野では(同教授らが開発し今回成立した特許にも含まれる)4種の遺伝子を使う手法が世界的なスタンダードになっている」と指摘。特許の影響力は大きいとみる。ただ再生医療応用はまだ基礎研究の段階。将来まったく新しい方法が登場して山中教授らの技術が陳腐化する可能性もある。

また受精卵をもとに作られるES細胞から臓器や組織を作る特許は、米国の大学やベンチャー企業が保有している。再生医療などiPS細胞の応用研究にはこうした先行技術も必要で、国内勢が競争力をつけるにはクロスライセンス交渉の進め方も焦点になる。

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