キノコに電気ショックで収穫量アップ

2010/6/12 7:00
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岩手大学の研究チームが、シイタケなどのキノコを電気ショックで増やす方法を編み出しました。キノコをたくさん収穫できるようするのが研究の目的ですが、これまでよくわかっていなかったキノコ類の生き方を知るのにも役立つと期待されています。

Q キノコに電気ショックをかけるってどうやるのかな。

A シイタケを育てるには、「ほだ木」と呼ぶ材木に菌糸を植え付ける。菌糸はキノコの種のようなものだね。岩手大学の高木浩一准教授らは、持ち運びできる小型の高電圧発生装置を開発したんだ。これを農場に持って行って、ほだ木の両端に電極を付け、5万~12万5千ボルトの高電圧の電流をほんの一瞬(1千万分の1秒)だけかけた。

すると、電気ショックを与えたほだ木からは、何もしないほだ木に比べて、平均して約2倍のシイタケが収穫できたそうだよ。電気ショックで菌糸が伸び始め、たくさん集まって、おなじみの傘の形(子実体)に成長したんだ。

Q ふしぎだけど、どうして電気ショックを加えようなんて思ったのかな。

A 雷が鳴るとキノコが生えるという言い伝えは古くからあるんだ。だからこれまでも、ほだ木に電気を流してキノコを増やす試みはあった。電気だけでなく、紫外線や磁場などの刺激でも増えるとする研究報告もある。

Q なぜ増えるのか、わかっているの。

A いや、わかっていないんだ。次の世代を早く残そうとする生存戦略ではないかとみる研究者はいる。傘状の子実体は、植物で言えば花に相当する。子実体には、胞子をつくって生命を次世代につなぐ働きがある。電気ショックなどで生存が脅かされたと感じる結果、子孫をつくろうという遺伝子のスイッチが入るのかもしれない。

Q キノコのことってよくわかってないんだね。

A キノコの仲間(菌類)を研究する科学者は、植物や動物の研究者に比べて少ないね。でも、2003年に米国の研究機関がウシグソヒトヨタケというちょっと変わったキノコで、その遺伝情報(ゲノム)を全部読み取ることに成功した。キノコでは初の快挙だった。ゲノムというのは生命の設計図とも言われ、生物が生きていくために必要な情報が集まった辞書みたいなものだよ。これで研究がスピードアップしたようだ。

Q キノコの育つ仕組みがわかって、おいしいキノコがたくさん食べられるようになるといいね。

A そうだね。キノコの仲間では、日本の企業がマツタケのゲノムを解読済みだし、シイタケのゲノムを調べる計画も、日本国内だけでなく海外の大学や研究機関で進んでいる。キノコの生態にも科学の目が迫りつつあるんだ。

(編集委員 滝順一)

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