2019年8月19日(月)

中間貯蔵施設に着工 核燃料サイクル、続く正念場

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2010/9/13 7:00
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「想定以上に温度管理が難しかった」と日本原燃は説明しており、7月末に溶融炉内に温度計を増やす設計変更を国に申請した。再処理工場ではフランスの技術を多く採用しているが、ガラス溶融炉は日本独自の技術。フランスの炉よりも大型化が可能で、20倍の処理能力を持つというが、それが災いした格好だ。

廃液などをガラス固化する施設の内部。中央奥から2基がガラス溶融炉

廃液などをガラス固化する施設の内部。中央奥から2基がガラス溶融炉

再処理工場やMOX燃料工場が稼働しないと、各地の原発や中間貯蔵施設には、処理を待つ使用済み核燃料がたまるばかり。日本原燃は電力会社から4000億円の増資を受けるほか、経済産業省も新しいガラス溶融炉技術の開発に11年度は25億円を概算要求した。技術確立への期待は大きく、責任は重い。

核燃料サイクルの実現には、こうした施設すべてが整備されることが大前提だが、最大の課題は再処理工場などで出た高レベル放射性廃棄物を地盤が安定した地層の下で保管する「最終処分場」の設置のメドが立っていないことだ。処分場探しの窓口である原子力発電環境整備機構(東京)の試算によると、処分場を受け入れた自治体と近隣の自治体が受ける経済効果は総計2兆8700億円。だが、最終処分場を誘致しようと手を挙げる自治体は今のところ見あたらない。

最終処分場は世界でも前例がない。候補地が決まったのはスウェーデンとフィンランドで、イギリスやフランスなども候補地の選定中だ。住民の不安や反発は原発より大きい。

高知県東洋町の町長が07年、最終処分場の書面調査検討を表明したが、その後の選挙で落選、話は立ち消えとなった。国は北海道幌延町や岐阜県瑞浪市で地下深くまで掘った施設を設け、地層処分の技術を検討しているが、あくまで地下研究施設だ。最終処分場を確保できなければ核燃料サイクルは完成せず、「トイレがないマンション」と皮肉られる致命的な欠陥を抱えたままだ。

日本の発電量に占める原子力発電の割合は約30%。原発は発電中に二酸化炭素(CO2)を排出しないことから、国は地球温暖化防止の切り札の1つとして30年には約50%に引き上げることを目指している。だが、このままではクリーンエネルギーどころか、次の世代に大きなツケを回すことになる。

(科学技術部 吉野真由美、 青森支局長 伊藤政光)

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