福島原発、1号機の制御焦点 窒素注入を開始
新たな水素爆発を予防

2011/4/6付
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東京電力福島第1原子力発電所では、原子炉の冷却に向けた作業が続く1~3号機のうち、燃料棒の損傷が最も大きいとみられる1号機の扱いが焦点になってきた。水素爆発を予防するため原子炉格納容器へ窒素の注入を開始。冷却のため注入する水の量も汚染水の流出につながるため微妙に調整する必要があり、難しいかじ取りが迫られている。

東電は6日、1号機の燃料棒の損傷の度合いが2、3号機を上回る約70%に達しているとの見方を改めて示した。3月14~15日の格納容器内の放射線量データから推定。1号機では現在も「常に半分くらい燃料棒が露出した状態が続いている」(東電)とみている。

1号機の原子炉圧力容器内の温度は、6日午後0時現在でセ氏214度。2号機の同142.5度、3号機の同78.8度(容器の下部温度は同115度)と比べ高い状態が続いている。1号機の冷却が順調でない理由はよくわかっていない。

東電は1号機の冷却の方法を途中で切り替えており、それ以前に一時、炉内の温度が高い時期があった。「注水が一時期うまく入っていなかったかもしれない」(東電)としている。「地震後に最初に動いた非常用システムでの冷却がうまくいかなかったのでは」(高橋実東京工業大学准教授)との見方もある。

2号機と3号機は圧力容器が部分的に損傷しているとみられ、内部の水蒸気などが逃げやすい分、注水が入りやすく、温度をうまく下げている可能性がある。これに対して1号機では容器の密閉性が保たれているため水が入りにくくなっていることも考えられる。

福島第1原子力発電所の現状
原子炉
建屋
原子炉の燃料棒対策・状況
1号機水素爆発著しく
損 傷
・外部電源で原子炉に真水注入
・格納容器への窒素注入開始
2号機壁に損傷損 傷・外部電源で原子炉に真水注入
・ピット下部に土壌固化剤を注入。汚染水の流出が止まる
3号機水素爆発損 傷・外部電源で原子炉に真水注入
4号機火 災な し・使用済み核燃料プールに注水
5、6号機維 持損傷なし・冷温停止状態
・低濃度汚染水を海に放出中
集中廃棄物
処理施設
--・低濃度汚染水を海に放出

1号機での窒素の注入は新たな水素爆発を警戒しての措置。これまでも1号機と3号機では原子炉建屋で水素爆発が起きており、いずれも建屋が大きく損傷した。

一般に水素は大気中で4%以上を占めるようになると、周囲の酸素と反応して爆発する。約6千立方メートルの窒素を数日かけて注入する計画で、「仮に3%くらい水素があればこれを2%くらいに下げる」(東電)ことで爆発の危険を避ける。

窒素を入れると格納容器内の圧力が高まる懸念があるが、東電は「圧力が今は下がり気味であるため、窒素注入によって新たなベント(排気)の必要性は生じない」と判断している。原子炉への窒素の注入は安全確保のための応急措置で、2号機、3号機と併せ、原子炉に水を注入することで冷やす作業が続く。1号機は容器の損傷が小さいため汚染水がもれる心配は比較的少ない。

水素は燃料棒のジルコニウム合金製の被覆管と水が高温で反応して生じるほか、炉内の放射線のエネルギーで水が分解されることで発生する。

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