/

新型耐性菌、症状は 対策は Q&A

国内で初めて、ほとんどの抗生物質が効かない新型多剤耐性菌の感染者が見つかった。どのような菌で、何が懸念されるのか。

Q 新型多剤耐性菌とは。

A 病気治療に抗生物質を多用するうちに、病原菌が生き延びるために抵抗力を持ったものを耐性菌という。中でも複数の抗生物質が効かない菌が多剤耐性菌だ。

新型は多剤耐性菌のうち、薬の成分を分解する酵素「NDM-1(ニューデリー・メタロ―β―ラクタマーゼ1)」を持つ大腸菌や肺炎の原因菌を指す。インドで発見された。ほとんどの薬が効かず誰にでも感染して病気を引き起こす可能性がある。広範囲に感染を広げる潜在的な脅威があり「スーパー耐性菌」とも呼ばれる。

Q 先週、感染例が見つかったアシネトバクター菌などとの違いは。

A アシネトバクター菌や緑膿菌(りょくのうきん)は皮膚や水中にいるが、病気を起こす性質が大腸菌などに比べて弱い。病気で入院している免疫力の低下した患者間での感染が問題になっている。これに対し、新型多剤耐性菌は健康な人にもうつることがある。

通常の大腸菌でも、体力が衰え抵抗力が低下していると、ぼうこう炎などを起こす。普通なら抗生物質で治療できるが、多剤耐性菌だと薬は効かない。肺炎の原因となる肺炎桿菌(かんきん)の場合も同様だ。しかし免疫力が弱まっている人に感染し血液中に入ると毒素を出し、敗血症で死に至るケースもある。

 Q 国内で感染が広がる恐れはあるか。

A 独協医科大病院で見つかった新型多剤耐性菌では感染の広がりは報告されていない。健康な人に感染する可能性があるとはいえ、普通に抵抗力があれば心配はない。現時点で感染拡大の恐れは少なく、一般の人が警戒するような事態ではない。冷静な対応が求められる。

ただ、海外で感染して国内に持ち込む人が続出し、気づかない間に保菌者が増えて病院内などで広まると問題だ。海外では医療費が多少かさんでも、信頼できる医療機関にかかるべきだ。医療関係者や国は、日常的に病原菌の種類や広がりを監視し、患者の隔離などの対策をとれるようにしておく必要がある。

大腸菌と肺炎桿菌はサルモネラ菌や赤痢菌の親せきで、これらと遺伝子をやりとりしやすい。サルモネラ菌などに新型多剤耐性菌のNDM-1の遺伝子が入ると重症者が増える恐れもある。

Q 将来、治療はできるようになるか。

A 新たな抗生物質の開発を待つしかない。1950年代に発売されたものの、現在は未承認で国内では使えない「コリスチン」という古い薬が効果的だとの研究結果もある。基礎体力を付け、一定の抵抗力を維持する心がけも必要だ。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン