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女子心わしづかみ「ココッパ」 スマホ販促のホープ

 ユナイテッドのスマートフォン(スマホ)の画面着せかえアプリ「CocoPPa(ココッパ)」が急成長している。かわいいアイコンや壁紙が世界中の若い女性に人気を集め、ダウンロード数は2000万を突破し、海外の利用者も多い。有料コンテンツや姉妹アプリなどの新サービスも開始。海外で存在感を高める「LINE(ライン)」のようなドル箱に成長するのか、注目される。

画像共有SNSが普及後押し

「ココッパ」のアイコンを使ったスマホのホーム画面

東京都千代田区に住む大学生の山野真依さん(22)は昨年秋、友人に勧められてココッパを使い始めた。アイコンはピンク系の女性らしいデザインで統一している。「アイコン1つ1つを自分好みにアレンジできるのが楽しい」

ココッパには38万種類以上のアイコンと9万種類以上の壁紙が登録されている。そのほとんどが、個人がパソコンやスマホのお絵描きアプリを使って描き、投稿した無料のイラストだ。お気に入りのアイコンにコメントをしたり、好きな投稿者を「フォロー」したりといった機能も備える。

ココッパの利用者のほとんどは10~20代の若い女性。ココッパ事業部の千島茂マネージャーは「これまでアプリの宣伝には投資してこなかった」と話す。それでも配信開始から約1年半で利用者数が2000万人にまで拡大した背景には、「インスタグラム」などの画像共有SNS(交流サイト)の存在がある。ココッパのアイコンを使ったスマホ画面の画像がネット上で話題になり、東南アジア、欧米と海を越えて人気が飛び火した。昨年12月には米国で、米アップル社のアップストアが選ぶ年間ベストアプリの一つにも選ばれた。

海外ユーザーの多さがココッパの強みだ。ダウンロード数の4割弱を北米が占め、続く日本は2割弱。残りを欧州やアジア、南米などで分け合う。違う言語を話すユーザー同士が交流できるよう、コメント欄には米グーグルの翻訳機能を搭載。アプリそのものも日本語のほか英語、韓国語、フランス語など10種類の言語で提供する。

昨年8月には米国に現地法人を設立。アプリを紹介するウェブ広告の投入などを通して、米国でのユーザー拡大をねらう。目標は「今年3月末までに3000万ダウンロード」(早川与規会長兼最高経営責任者=CEO)と高く掲げる。

無料壁紙、企業も提供

世界中で急拡大する利用者数に着目し、ココッパを販促ツールとして活用する企業も出てきた。昨年11月には、日本ロレアルが「メイベリンニューヨーク」のリップクリーム「BABY LIPS」のロゴを入れた壁紙とアイコンの「きせかえセット」を期間限定で無料提供。こうしたアイコンや壁紙型の広告は、ココッパの収益手段に育ちつつある。昨年秋以降、日本コカ・コーラやKDDIも同様のセットを提供。KDDIはセットの中にauの有料会員サービス「スマートパス」のウェブページを開けるアイコンを入れ込み、入会促進を図った。

壁紙やアイコンを直接目にするのはスマホ所有者のみ。メッセージのように交換されて広がるラインの「スタンプ」とは異なる。千島マネージャーは「スマホ利用者は1日100回ホーム画面を見る。企業のロゴや広告が入れば、強力なブランド訴求になる」と力説する。

きせかえセット型の広告はまだ国内のみの展開だが、千島マネージャーは「海外進出を狙う国内企業やグローバルブランドなどが活用すれば、より高い効果が出せる」とみる。実際、全世界同時公開の映画のプロモーションに使用される予定もあるという。

ユーザーによるデザイン投稿で成長してきたココッパだが、無料コンテンツのみでのアプリの収益化は厳しい。そこで今月下旬にはココッパと連動する姉妹アプリ「ココッパプレイ」の配信を開始。好みの洋服やアクセサリーで着せ替えたアバターを作り、他のユーザーと交流できるアプリで、洋服など一部アイテムは有料となる。

作成したアバターは、ココッパのマイページにも登場させることが可能。アバター遊びと連携させることで「ココッパ自体の利用頻度を上げる狙いもある」(千島マネージャー)。ココッパ関連アプリとの接触を増やすことで、ユーザーの囲い込みを図る。

有料コンテンツに進出

昨年11月には、人気キャラクターを使った壁紙とアイコンのセットを200~300円で販売する事業にも乗り出した。現在、提供しているのは「ハローキティ」や「スヌーピー」など約50種類。今後さらに50種類程度を追加することが決まっている。ただ10代のユーザーが多いこともあり、有料コンテンツの利用はまだこれからだ。

キャラクターは国や地域によって好みが大きく異なる。例えば、日本やアジアで人気のきせかえセットは「ハローキティ」や「マイメロディ」だが、米国ではSNSのフェイスブックでメッセージを送る際に使えるネコのキャラクター「Pusheen(プシーン)」が断トツで人気という。米国の現地法人では、米国で人気のキャラクターについての市場調査も実施。現地の好みに合わせた商品を投入し、課金ユーザーを増やしたい考えだ。

国内アプリ市場、ゲームが9割

矢野経済研究所の調査によると、スマホアプリの市場規模は2016年には13年の2倍以上の約441億円に成長する見通しだ。米調査会社のアップアニーも、国内のスマホやタブレット向けアプリの市場規模は昨年10月に米国を抜いて1位になったとしている。

ただ、国内市場の約9割は「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」などのゲームアプリによるもの。ガンホー・オンライン・エンターテイメントやLINEなどの国内大手5社が売上高の3分の2を占めているのが現状だ。早川CEO自身も「ゲーム以外のアプリで収益化できている例は少ない」と話す。

ココッパは利用者数の伸びこそ著しいが、あえて若い女性のみにターゲットを絞る。利用者の性別や年齢層が幅広いLINEとは対照的だ。広告事業も「化粧品や飲料などのPRには適しているが、自動車の広告などには適さない可能性もある」(早川CEO)。ココッパのさらなる成長にはユーザー層のニーズに合致し、高い課金率を見込めるサービスの展開が求められる。

早川CEOは「ゲームやECなど、スマホでの利用率の高いサービスとココッパの連携を探る」一方で、「アプリは2~3年で必ず廃れる」と、新サービスへの投資にも注力する。

早川CEOはサイバーエージェントの副社長を務めた経験から学んだことについて「1つのサービスだけに頼りきらない経営」と話す。ココッパの成長を持続させながら、新たなヒット作を創出できるか。経営手腕が問われるのはこれからだ。

(菊池友美)

[日経MJ2014年2月5日付]

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