「キンドル元年」広がる商機 過去の名作、魅力を再認識 (藤元健太郎)

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2012/12/7 7:00
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 1967年生まれ。野村総合研究所在籍中の93年からインターネットビジネスの調査研究、コンサルティングをスタート。日本初のインターネットビジネス実験モール「サイバービジネスパーク」をプロデュース。99年に故大川功氏のもとでフロントライン・ドット・ジェーピーを立ち上げる。
 02年から現在のD4DR株式会社代表取締役。経済産業省産業構造審議会委員、青山学院大学大学院EMBA非常勤講師なども歴任。ITによるビジネスや社会システムのイノベーションを発信・提唱し続けている。

1967年生まれ。野村総合研究所在籍中の93年からインターネットビジネスの調査研究、コンサルティングをスタート。日本初のインターネットビジネス実験モール「サイバービジネスパーク」をプロデュース。99年に故大川功氏のもとでフロントライン・ドット・ジェーピーを立ち上げる。
02年から現在のD4DR株式会社代表取締役。経済産業省産業構造審議会委員、青山学院大学大学院EMBA非常勤講師なども歴任。ITによるビジネスや社会システムのイノベーションを発信・提唱し続けている。

電子書籍端末「キンドル」がようやく日本で発売された。楽天の「コボ」などとの競争が本格化する。出版社側も品ぞろえの拡充に力を入れ始め、来年は日本でも電子書籍市場が成長モードに突入しそうだ。そんな中で興味深い兆しがある。沢木耕太郎氏の「深夜特急」がアマゾンのキンドルストアで売れ筋上位にランクインしているのだ。

この本は約30年前に出版された。普通の書店で売れ筋上位に入っているわけではない。電子書籍特有の現象のようだ。過去の作品という意味では最近、山下達郎やユーミンなど長い間活躍しているアーティストのベストアルバムも売れている。そのおかげで音楽ソフト市場も14年ぶりに拡大する見通しだ。

《ポイント》
(1)「キンドル」発売で日本の電子書籍市場も拡大期に入った。
(2)リバイバル作品のデジタルコンテンツ化の成否が購買力を左右する。
(3)コンテンツへの消費支出を増やすことが人口減少時代の戦略となる。

過去の名作が今の若い人に新鮮にとらえられている面はある。ただこうした現象を支えているのは、かつて青春時代に触れた本や音楽を再び体験したい中高年だろう。日本の人口構成の7割弱はすでに35歳以上。新作だけでなく過去の様々な書籍や音楽、動画コンテンツを活用したビジネスチャンスがある。

過去の作品にはすでに様々な評価があり、未知の新作に比べてリスクも少ない。何よりもコンテンツのデジタル化と、スマートフォン(スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)の普及が手軽に過去のコンテンツへのアクセスを可能にする。これまでのパッケージメディアでは物理的制約から店頭で展示する面積などに限界があった。そのためおのずと新作中心の品ぞろえとディスプレーになっていた。しかしオンライン上はそうした制約がない。興味を持った瞬間に売り場まで誘導し、そこで購入できる。

さらにマーケティング的にも新しい挑戦が可能だ。まず価格。旧作品はすでに投資コストは回収されているものが多い。デジタルでは流通コストも小さく、在庫リスクも無いので価格設定が柔軟にできる。実際、深夜特急は当初400円の販売価格を半額の200円にしたところ、売り上げが急増したという。

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