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消える地場スーパー、崩れる岩盤

「小泉劇場」で自民党が大勝した2005年衆院選、2年後の参院選では小沢一郎氏の民主党が大勝――。ここ数年の国政選挙は、勝者と敗者が極端に入れ替わる。人口が減り、過疎は進む。常識として語られてきた各党固定の支持基盤は崩れているからだ。その象徴のひとつが、地域に根ざした地場スーパーの消滅だ。

薄れる利害、政治的無関心に拍車

無党派層が増える流れは都市部だけでなく全国共通だ

1963年に1号店を出し、福井県の有力スーパーの「ユース」。地域に密着し、福井の買い物の顔でもあったが、今秋にも50年の歴史に幕を下ろすことになる。

ユースは後継者問題もあり、2005年に岐阜のスーパー、バローの傘下に入った。当初は「ユースの知名度は高く、のれんは残す」(同社幹部)予定だったが、店舗仕様や情報システムを統一し、福井や隣県の石川県で出店を加速させるためだ。

日本国内は食など地域性が強く、ブランドを扱う百貨店は衰退しても、地場スーパーの業績は2000年代半ばまで比較的堅調に推移していた。だが近年、人口減やデフレの影響などを受け、この構図も崩れつつある。価格競争の激化から業界再編が進み、地場スーパーがなくなる地域も増えている。

劇的に変化する経済、産業構造はいや応なく人々の政治意識にも影響する。政治への関心度は有権者の利害の大きさに比例する。有権者は建設や製造業、労働組合など自らが属する企業や団体に優位に働くと見る候補者に一票を投じる。だが日本経済をけん引してきた輸出や公共工事関連の産業が低迷し、雇用の受け皿としての力を弱めるとともに選挙の効果が低下してきた。

いまや最大の雇用の受け皿は就業者の約70%を占めるスーパーやコンビニエンスストア、外食など第3次産業だ。一般的に小売りやサービス業は政治的には中立で、組合の加入率も低い。おのずと政治意識は薄れるわけで、無党派層が増える流れは、もはや都市部だけでなく全国共通だ。

地場スーパーの消滅は政治的無関心に拍車をかける象徴といえる。地元企業であれば、利用者も就労者も地域への帰属感があり、政治意識も残る。だが地方都市でも働く場や買い物の場が全国チェーンが中心になると、一段と政治的な土壌から切り離される。

若者と選挙の「円満離婚」

とりわけ若者の政治離れは深刻だ。高齢者であれば、年金や社会保障の問題は切実で、選挙への関心も強い。候補者もこの点に絞って激しく訴えるケースが多い。だが若者は身近な問題として政治をとらえられず、投票率は低下する。

実際に20歳代の投票率は圧倒的に低い。過去20年間の参院選の動向を見ても60から70歳代が60~70%で推移するのに対して、30%台とほぼ半分となっている。

電通若者研究部の吉田将英研究員は「若い世代にとって自分の人生や生活と政治は直結していないし、政治の側も高齢者向けのマーケティングを進める以上、そうなる」と指摘する。吉田氏は「お互いが無関心になるわけで、そこに利害の対立があるわけではない。円満な離婚が進むだけ」とも言う。

豊かさの象徴として成長してきた地場スーパー。消え去ることに年配の買い物客は郷愁を覚えるが、若者はそうでもない。あたり前だが、モノはスマートフォンでもネットでもどこでも買えるからだ。参院選もそんな構図の中、実施されることになる。

(編集委員 中村直文)

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