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ビッグデータ生み出す飲食サイト 誘客の決め手に

第3回ウェブ担当者座談会(上)

 ウェブマーケティングの最新事情を現場の担当者に座談会形式で聞く「中(なか)の人会議」。第3回は「飲食業界とネット」をテーマに、口コミサイト「食べログ」のカカクコム、飲食店予約事業を始めたヤフー、そしてレストラン・飲食店の担当者2人が飲食店サイトの進化やサービスの長短について語り合った。

点数+情報で効率集客

――ネットが浸透し、飲食店検索サイトの利用も伸びています。

カンチェーミ氏「昔から広告はせずに口コミでやってきました。5、6年前から食べログで紹介されはじめ、ランキングの評価を見て来店する人が増えました。ネットの集客力は強力。老舗のなかでは若いお客さんが多いのですが、ネット予約を使っているからだと思います。ただ、ネットは気付くと色々書かれています。頑張ろうという気持ちになる半面、怖さもある」

阿部氏「ダイヤモンドダイニングでは自社のサイトでも予約サービスやクーポンなどを提供しています。しかし、検索サイトにはユーザーの数では勝てません。そのなかで自社サイトでどのようにアピールできるか毎日追求しています。提供するコースメニューやクーポンも毎月切り替えたり、ニーズに合わせた価格帯についても試行錯誤しています。外食事業はネットへの取り組みが遅れています。お客さんの満足度を高めるためにネットを活用しています」

宮崎氏「食べログは個人の感想を口コミで投稿してもらって、独自のアルゴリズムで点数をつける仕組みです。従来は点数のランキングで表示していましたが、2012年からは飲食店から提供してもらう情報も充実している。点数が高い店だけに送客しているわけではないので、情報発信を増やして効率的に集客している店もたくさんあります」

阿部氏「でも点数は気になりますよね(笑)。ユーザーよりも気にしちゃいますよ。サービスが悪くても、それ以上に安ければ点数が高くなることもありますし、点数が悪くてもいいお店があるのは事実ですが」

望月氏「ヤフーの検索を見ていると消費者は多様な探し方をしていることがよくわかります。パソコンでも自宅とオフィスではもちろん違うし、スマートフォン(スマホ)でも時間帯で全然違います。検索サイトも食べログの点数を見る人もいれば、店の外観とか内装を参考に選ぶ人もいます」

機能過多の側面も

レストランの空席状況を確認でき、オンラインで予約できる食べログのサイト

――一方で、消費者からすればサイトが多くて戸惑う部分もあるのではないですか。

宮崎氏「食べログは点数だけでなく、例えば自分の好みと近いレビュアーからも店を探せる。もちろん多くの人は使いこなせていない。上級者じゃないと様々な検索ができないので機能過多の面があるのはたしかです。うまく利用者にあった機能を紹介していければ、もっと効果的に送客できるのですが」

阿部氏「ユーザーと運用者という両者の視点でみても、シンプルがベストだと思います。わかりにくいあまり、グーグルで『新橋、焼き鳥、3000円』という探し方になります。特にグルメサイトに広告はいらないと思います。自社サイトでは、予約の窓口を増やすことと、複数の業態を持っているということを示しています。グルメサイトまで凝り始めると、自社サイトを含めて5つも整えないといけません。お客さんへのサービスにお金を使うのでないと本末転倒です」

望月氏「フリーワードで検索する方法は増えているのはたしかです。情報は増えれば増えるほど酔ってしまいます。そこで、店を推薦するレコメンデーション機能を提供したいと考えています。ヤフーが持つビッグデータを分析して、利用者は属性や趣味嗜好などを基に店を紹介してもらえるようになれば、時間もかからずに効率的に探せるようになります。自分の知り合いが行く店なら行ってみようということと同じ感覚で店選びができるようにしたいですね」

カンチェーミ氏「アマゾン方式ですね(笑)。ついつい買いすぎてしまう。機能ということで言えば、実は外国人が見られるサイトはほとんどありません。訪日外国人客数が大きく伸びているから、市場は大きい。日本語と英語で店を紹介すれば面白いと思います。どこかやってもらえませんか」

「食事で失敗したくない」に応えろ

――飲食店を探す人がネットに求める役割とは。

望月氏「サイトの利用者の心理は『食事で失敗したくない、一歩でもいい思いがしたい』ということでないでしょうか。何かするときの摩擦を減らせば、消費者も飲食店もみんな満足できる。検索のログは、大きな武器になると思います。それをどうやって消費者に使ってもらうか知恵を出していきたいですね」

宮崎氏「利用者と飲食店のストレスを少なくしたいというところが原点です。レストランに行く前に必ず訪れる、一番いいと思われるサイトにしたいです。データの整理は、実はカカクコムは『価格・com』でも培ってきていて得意にしています。膨大なデータをうまく見せてあげるかが肝になると思います」

阿部氏「飲食店の立場からすると、データを解析して商売につなげていくことは大事ですが、そこに頼りすぎないようにもしたいです。飲食業は消費者のその日その時で変わる趣味嗜好を把握することが最も難しい。自分たちも賢くなってデータを活用できるようにしていきたいですね」

(司会は消費産業部 名古屋和希)

[日経MJ2014年1月8日付]

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