ネットの公共教育を スイカ履歴が突き付ける課題 (藤元健太郎)

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2013/9/27 7:00
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東日本旅客鉄道(JR東日本)がICカード乗車券「スイカ」の乗降履歴データなどの外部販売を当面見送ると発表した。こうしたデータサービスはNTTドコモも携帯電話の位置情報を活用したモバイル空間統計事業として始めている。個人の行動履歴情報を集めたビッグデータの有効活用が期待される中で、個人のプライバシーが漏洩することへの懸念も高まる。

《ポイント》
(1)個人の行動履歴を集めたビッグデータの活用が期待されている。
(2)技術の活用が先行し、データを活用される側の当事者意識が薄い。
(3)個人データは公共活用とプライバシー保護の両面からの教育が重要。

JR東日本はスイカの乗降履歴データの外販を当面見送った

JR東日本はスイカの乗降履歴データの外販を当面見送った

データを活用する側が利用目的の開示や事前許諾、個人識別性の排除、匿名化技術の導入などの対応をするのは当然だ。だがそれで大丈夫というわけではないと筆者は考える。現状は技術の活用が先行し、活用における生活者の意味を突き詰める努力がされていないのではないだろうか。一方、ソーシャルメディア上では仲間内のふざけた写真を公開し、それが不特定多数に漏洩した結果、閉店に追い込まれた飲食店舗もある。

こうした問題に共通するのは、IT(情報技術)における「パブリック」と「プライベート」の概念を認識する重要性だ。我々は普段、個人情報のパブリック活用についてあまり意識しない。例えば商店街や街中にある膨大な数の防犯カメラ。防犯と犯人を捕まえるというパブリックな目的が上位に来ることでプライバシーよりも重要なのだという暗黙の了解が存在を認めているのだろう。

裁判の判例でも防犯目的については「事前に撮影します」という許可が無くても盗撮にはならないとされている。しかし、撮影された防犯カメラのデータがどのように使われているか。我々は監視やチェックが十分できているわけではない。実際にコンビニエンスストアの中の監視カメラに映った有名人の映像をアルバイトがツイッターに流してしまうことが起きている。

その半面、撮影されたデータを画像処理して、来店人数や店内回遊パターンの分析などに役立てる動きもある。プライバシーを守ることと、パブリックのために活用することを同時に進めることは避けて通れない問題だ。

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