コンビニ、高級アイス強化 独自商品で女性に的

セブン―イレブン・ジャパンなど大手コンビニエンスストアが200円以上する高価格帯アイスの販売に力を入れている。ナショナルブランド(NB)、プライベートブランド(PB)を問わず、自社の店だけで扱う商品を充実させている。アイスは食品関連で他チェーンとの違いを出せる数少ない分野。アイスを目当てに店に来る女性らを取り込み、既存店の競争力引き上げを目指す。
セブンイレブンは現在、有力ブランドと組んだ同社限定の高価格帯アイスを6品目そろえている。前年同期の2倍だ。
例えば、アイス専門店、コールド・ストーン・クリーマリー・ジャパン(東京・港)のカップアイス。昨年末に2品目を売り出し、今年も4、6、7月と立て続けに3品目出した。最新作「ジューシーマンゴーパッション」(250円)は粗めに刻んだマンゴー果実入り。生産を担当するロイヤル食品は専用機械を導入し、作り込んでいる。
8月上旬から、高級チョコレートブランド「ゴディバ」のカップアイス(420円)も販売している。カカオをすりつぶし、バニラ味のアイスに混ぜたものなど2品目だ。ゴディバの店でも売っているが、コンビニはセブンイレブン限定だ。
セブンイレブンでアイス類を担当する宮賢二シニアマーチャンダイザーは「来店動機になり、客単価向上にもつながるアイス売り場の高級化に力を入れている」と話す。実際、電子マネー「ナナコ」を使ってコールド・ストーンのアイスを買った人のうち、女性は65%。アイス全体(60%)を5ポイント上回っており、女性客の取り込みに一定の効果を上げているという。
日本アイスクリーム協会(東京・千代田)によると、2012年度のアイスクリーム類・氷菓の市場規模は4181億円と09年度比で9%増。デザートに買う20~30代男女が増え、市場拡大を後押ししているという。
コンビニはデザート類でケーキなど冷蔵(チルド)の商品力を競ってきたが、「品ぞろえが手薄な高級アイスは独自色を出しやすい」(セブンイレブン)。いれたてコーヒーに続き、各社が注目し始めている。
先駆けはファミリーマート。昨年5月に自社ブランドで「GELATO(ジェラート)」シリーズ(250円)のカップアイスの販売を始めた。発売初週に計画の5倍の100万個を売り、知名度を上げた。現在も2カ月に1品目のペースで新商品を発売し、固定客をガッチリつかんでいる。
サークルKサンクスは7月、自社ブランド「シェリエドルチェ」で初の高級アイス(220円)を発売した。ミルク味など6品目で、年内にさらにラムレーズン味など2品目を追加する。アイス類は冬場に売れ行きが落ち込むため、「年間を通じ安定して売れる高級アイスでテコ入れする」(同社)狙いもある。
ローソンは2月に自社ブランド「ウチカフェスイーツ」でアイスの展開を始めた。第1弾は126円のアイスバー。4月にデザートの看板商品「プレミアムロールケーキ」のクリームに使う生乳が原料のコーンアイスを発売し、195円と価格帯も引き上げた。
コンビニの既存店は6月、13カ月ぶりに増収になった。全国的に気温が高い日が多く、夏向け商品の販売が伸びたためだが、来店客数は13カ月連続の減少。客を呼べる商品分野に育てるため、各社の取り組みは今後、一段と熱を帯びそうだ。
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