マージャンゲーム、人気支える「接客」 修正は年1万項目
(ネット巧者たち)
運営10年目に入ったマージャンのオンラインゲーム「Maru-Jan(マルジャン)」。今年は賞金総額1000万円の大会で話題を呼んだ。長きにわたって利用者をつなぎ留める秘訣は、年間1万項目という丁寧な修正と多彩なイベント。多くのソフトが生まれては消えるゲーム業界での貴重なモデルだ。

マルジャンはシグナルトーク(東京・大田)が2004年に公開。パソコンで動作し、1ゲーム80~150円。無料のマージャンゲームも多いが、パイや全自動卓のリアルさは群を抜く。60万人が登録し、毎日5000~1万人が対局。ここ数年は安定して年間約6億円を売り上げる。
高い完成度は緻密な修正のたまものだ。「パイの描画や文言修正まで、細かな点を含めれば年1万カ所」(栢孝文社長)。1日10通から50通届くクレームには担当者2人で48時間以内に対応し、要望を取り込む。後日のフォローも含め、1件に対して1.2通を返信。手間を惜しまない「ネットならではの接客」でユーザーと密な関係を築く。

連日開催されるイベントも飽きさせない。今月始まった「麻雀六戦術」は50ゲーム分の打ち筋を分析し、熊や虎など6種類の動物にユーザーを分類。居住地で東西に分かれての短期団体戦などは根強い人気がある。
大学時代に連日パイを握った栢社長は生粋のマージャン好き。大手ゲーム会社を経て起業、マルジャンを発案した日も徹夜マージャン明けだったという。変わらぬ柱は「あえて無駄を残す」こと。例えばパイは毎回、バラバラの状態で配られてから絵柄ごとに整理される。「効率性を求めるソーシャルゲームなら真っ先に削られる1秒」こそがリアルさの要とみる。
富士通などの協賛で開いた賞金総額1000万円の「全国麻雀選手権」は4万6000人が参加。今月4日の決勝戦は7万4000人がネットで観戦した。次はタブレットへの対応などで新たな顧客を発掘する考えだ。
[日経MJ2013年8月16日付]
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