2019年7月19日(金)

サントリー、中国でビール巻き返し 青島との合弁発表

2012/6/5付
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サントリーホールディングスは5日、中国ビール2位の青島ビール(山東省)と提携すると発表した。年内にも上海などの両社のビール事業を統合する。世界最大のビール市場、中国では現地企業が再編を通じて巨大化しており、かつては市場開拓で先行したサントリーも現地大手との連携で生き残りを目指す。岐路に立つ日本のビール企業の姿は、中国攻略に行き詰まる他の内需型企業にも共通する。

サントリーと青島は生産、販売をそれぞれ手掛ける合弁会社を折半出資で設立。生産会社には上海、江蘇省内の両社の計10工場を、販売会社には計4社を移管する。統合後の売上高は約300億円。生産数量は計7800万ケース(1ケースは大瓶20本換算)と両地域の32%のシェアを持つトップ企業となり、5年後に売上高倍増を目指す。サントリー中国ホールディングスの松本洋一副社長は同日、「将来は他地域での販売に提携を広げたい」と期待を述べた。

中国のビールの年間消費量(2010年)は4400万キロリットルと、世界全体の4分の1を占める。消費者の所得増加により、今後も安定成長が見込める有望市場だが、かつては地域ごとにビール会社が乱立し、1980年代後半には約800社が存在した。

だがこの10年余り、中国政府の後押しもあり、華潤雪花ビール(北京市)や青島、燕京ビール(同)の現地3強が中堅・中小企業のM&A(合併・買収)を重ねて巨大化。首位の華潤は11年の年間販売量が1000万キロリットルを超え、世界トップ5の規模へ成長した。

さらに欧米のグローバル企業も本格参入。世界最大手、アンハイザー・ブッシュ・インベブは04年に大手のハルビンビール(黒竜江省)を買収して足場を築き、現在は3番手に付ける。英調査会社のユーロモニターによると、これら4社の合計シェアは約6割に上り、寡占化が進みつつある。

日本勢はこの波に乗れなかった。サントリーは1981年、日本勢では最も早く参入、中低価格の商品を販売して事業を拡大。上海では2000年代初めに5割前後のシェアを握ったが、近年は華潤などの低価格攻勢に押され、苦しい戦いを強いられている。中国全土の販売シェアも1.6%(9位)にとどまる。

アサヒグループホールディングスは地元メーカーへ資本参加し、北京などに生産拠点を設けてきたが、販路の開拓は思うように進んでいない。09年には青島に約20%を出資。8月に全土で「スーパードライ」の販売協力で合意できるよう交渉を進める。「サントリーとの提携は地域限定と青島から聞いている」としているが、今後は綱引きも予想される。

キリンホールディングスも広東省などで生産・販売を手がけるがシェアは伸びず、最近は東南アジアなどに海外事業の軸足を移した感がある。

中国市場を狙う日本の食品や日用品企業は多いが、事業が軌道に乗らない例が目立つ。現地・欧米勢との競争では、M&Aの機動力で劣る以外にも商品の品質や性能にこだわるあまり、低価格で大衆ニーズを取り込むスピードで後れを取りがちだ。対中ビジネスの成功例は、商品や事業モデルで独自性を確立したヤクルト本社やユニ・チャームなどに限られる。

みずほ総合研究所の堀千珠主任研究員は「豊富な資金を持つ現地大手に日本企業が独力で対抗するのは難しい。商品や地域を絞り込み、現地の提携先を探すなどきめ細かい戦略が必要」と話す。

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