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消費者も納得、原料・分類表示根付く米国食市場

(村山らむね)

短い休暇をニューヨークで過ごし、マンハッタンのデパートやスーパーマーケットに出かけた。オーガニックは食品の付加価値として、日本でも定着した言葉だが、ニューヨークでは次のキーワードに強い印象を受けた。

《ポイント》
(1)食品の付加価値を高めるキーワードがニューヨークで目に付いた。
(2)米国ではネット上でも食品に関する詳細情報が充実している。
(3)食品を扱う企業は個々のライフスタイルに応じた商品設計が必要だ。
店頭では鮮魚の価格表に認証団体によるサインを明示(ニューヨークのホールフーズ)

(1)ローカル(地元産。ニューヨーク近郊で採れた産物で意外と農地も多いらしい)(2)ビーガン(徹底したベジタリアン。肉、魚はもちろん乳製品やはちみつなど動物由来のものを一切取らない人向け)(3)グルテンフリー(小麦不耐性が欧米で問題視されるなか、グルテンを取り除いた食品や生活材が支持を集めている)(4)ロー(生やフリーズドライのような加工により、調理せずに食べられるもの)(5)サスティナブル(漁や収穫のしかたが持続可能であるか)

現地ではこうした言葉への消費者意識が根付いていた。例えば環境問題に関心が高い層が支持する米ホールフーズ・マーケットは、魚であれば認証団体による持続可能かどうかのサインを価格表に明示。肉なら個体に与えるストレスの視点から生育環境をチェックし、個々の商品を色分けしている。

アレルギーや不耐性のように自分の体が受け付けないものを排除する。サスティナビリティやローカルというコンセプトに共感したものを購入する。こうした消費者行動の方向性が、説得力ある表示で見事に調和していた。日本でも食品アレルギーの啓蒙活動が盛んだが、アメリカではEC(電子商取引)分野でもその取り組みが加速している。

バーコードスキャンアプリとして知られる「RED LASER」は、価格を従来のようにリアルタイムで比較するだけではない。食品の様々なアレルゲンのうち、何が原料として入っているか瞬時に確認できる機能も付け加え始めた。もちろん情報提供サイトからワンクリックで購入できる。

村山らむね氏 慶応大学法学部卒。東芝、ネットマーケティングベンチャーを経て、消費者目線のマーケティング支援のスタイルビズ設立。企業のソーシャルメディア運営やeコマース関連のアドバイザーを務める。経済産業省消費経済審議会など各種委員を歴任。ブログ「らむね的通販生活」(http://www.lamune.com)は18年目に突入した。働くママの目線での「ワーキングマザースタイル」(http://www.wmstyle.jp)を主宰。趣味はフラやヨガ、ホームパーティー。ファイナンシャルプランナーとしても家計相談を受け付けている。

アマゾンは「オーガニック」「ベジタリアン」の分類はもちろん、「グルテンフリー」「シュガーフリー」「ビーガン」「フェアトレード」など各1000種類以上の商品群を備えている。また商品数は少ないが、ユダヤ教徒に対応した「コーシャー」、イスラム教徒向け「ハラル」、遺伝子組み換え食品ではないことを示す「GMOフリー」など、文化・宗教的な忌避に応じたニッチなカテゴリーがある。

一方、日本では商品はあっても、カテゴリーを作って見やすくしているサイトはほとんどない。宗教的なこだわりをもつ市場の拡大は短期的には難しいが、アレルギー対応食に関しては、ニッチだからこそECにはなじみやすい。実はショップも少なからずできているが、今後はモール側の対応として、より見つけやすくすることも重要だ。必要とする人に情報が行き届いていない可能性があるからだ。

レシピサイトの取り組みとしては、クックパッドが8月30日、アンドロイド版アプリケーション「アレルギー対応レシピ」を公開した。また楽天レシピでは「○○を使わない」という特定の食品を忌避したレシピが1000以上あり、充実している。これらのレシピ投稿サイトでは、作る必要のある消費者がレシピを投稿しているケースが多い。市場の将来性に期待がもてる。

食に関わる企業は今後、アレルギー対応をはじめ、サスティナブル認証やビーガンなど、新しいライフスタイルに応じた商品設計も視野に入れるべきだ。求めている人たちが手に取りやすい環境を作り出すことは言うに及ばずだ。

[日経MJ2013年9月6日付]

 「ECの波頭」は最新のEC事情を、専門家が読み解きます。執筆は、D4DR社長の藤元健太郎氏、通販コンサルタントの村山らむね氏、デジタルハリウッド大学教授の三淵啓自氏、アジャイルメディア・ネットワーク社長の徳力基彦氏が持ち回りで担当します。

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