「日本の中小海外進出に対応」 東京スター銀買収の台湾大手銀

2013/10/31付
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【台北=山下和成】台湾大手の中国信託商業銀行は31日、中堅地方銀行の東京スター銀行を520億円で買収すると正式に発表した。首都圏中心の店舗網を活用し、1600兆円に上る日本の個人金融資産を取り込む狙い。アジアに進出する中小企業にも現地通貨建てで融資する。外銀の邦銀買収は初めて。地域内で競争してきた地銀の経営に変革を促すことになる。

記者会見する中国信託金融HDの呉一揆総経理(31日、台北市内)

中国信託は31日に開いた取締役会で買収を決めた。12月20日に持ち株会社が臨時株主総会を開いた上で、日本と台湾の金融当局に買収の認可を申請。2013年度中に買収を完了したい考えだ。

31日に台湾で会見した持ち株会社の呉一揆総経理は「日本はアベノミクスや20年の東京夏季五輪の開催決定を受け、今後の景気の見通しが明るい」と指摘。「台湾や中国大陸、東南アジアに進出する日本の中小企業の資金需要にも対応したい」と事業拡大に意欲を示した。東京スター銀の名称を存続させる方針も明らかにした。

1966年に創業した中国信託は台湾に約150の店舗を持ち、個人取引に定評がある。400万枚を超えるクレジットカードを発行し、15%のシェアを持つほか、データを使った融資審査や洗練した内装の店舗開発を進めてきた。昨年12月に死去した創業者の辜濂松(これんしょう)氏が台湾財界きっての知日派だったこともあり、かねて日本での個人取引への参入機会をうかがってきた。

約30の店舗がある東京スターの買収で、海外12カ国・地域の拠点数は100近くに増える。買収後はアジアの株式や債券で運用する投資信託を日本の富裕層に紹介したり、日本の不動産に関心を持つアジアの富裕層向けにローンを提供したりする計画だ。アジアに基盤を置く銀行グループの特色を生かし、約2兆5000億円の総資産を増やしていく。

法人取引では、台湾や東南アジア進出を検討する日本の中堅・中小企業に工場の候補地を紹介し、アジアの複数国通貨での決済手段も提供する。店舗がない地域の中小企業には、地元の地銀と提携して情報提供する。既に静岡銀行、京都銀行などと提携しており、さらに提携地銀を増やす。

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