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消費増税点検会合1日目、出席者の主な発言

消費増税の影響を検証する政府の集中点検会合が26日始まった。初会合後、出席した有識者が記者団の質問に応じた。主な発言は以下の通り。

岩田一政・日本経済研究センター理事長

日本経済研究センターの試算では、従来の予定通りに2014年4月に消費税率を3%上げた場合の14年度の成長率は0.2%とかなり低い。そのままだと、(15年10月に予定する)次の2%を上げることができなくなるのではないか、と申し上げた。その場合は法人税の復興のための付加部分(2.6%)を1年前倒しして廃止、自動車重量税・取得税も14年度に廃止し、低所得層を中心に2兆円の一時的な所得減税を実施したらどうかと提案した。

(1)2%と3%の2段階(2)毎年1%ずつ(3)15年4月に5%上げ軽減税率を入れる――との3つの案についてシミュレーションした結果を報告した。消費に与えるマイナス効果が最も小さいのは(2)だが、税収は(1)と比べると減ってしまう。デフレ脱却を優先順位に考える場合は、法律の改正や実務上の問題という困難はあるが、(2)が望ましい。

(2)の場合も税収がそれほど上がらないことを考えると、20年度の財政再建目標を守るために、歳出削減や成長による増収によって目標が達成できない場合は、18年度以降もさらに1%上げることを検討するよう提案した。

1%ずつ上げる場合も(経済的な)マイナス効果はある。3~4年後はどのケースでも19~20年ごろには個人消費は2%ほど落ちる。その途中を比較すると、1%ずつだと最も消費減が少ない。

海外投資家は消費税についてやはり一度公約したことはきちんと実行できる政府であるかどうかをみている。消費増税を延ばすことはあり得ない。ただ税率の上げ幅やタイミングについてはあまり問題にしてはいない。私が会った投資家は「1%ずつでも最終的に5%上がるのであればよい」と考えているようだった。

古賀伸明・連合会長

(消費増税は)前提条件付きの賛成だ。メリット・デメリットが色々あり、加えて社会保障と税の一体改革の骨格というのは最初、連合としても集中検討会議などあらゆる会議で意見の反映に努め、一定程度の主張が入った。基本的にはあの法案に沿ってやっていくことが我々のスタンスだ。

だが、ここへきていくつか前提がある。1つは社会保障と税の一体改革と言っているにも関わらず、増税だけの話となっている。社会保障を将来的にどういう風にやっていくか、残念ながら国民会議の報告書でも明確になっていない。国民の不安は払拭できない。片方で公共事業が増大して、国民会議の報告書も負担増、給付削減がめだつ。そうなれば「社会保障カット・公共事業増」のように国民が受け止める可能性も十分ある。

2点目は、雇用の問題。就業者の9割を日本は雇用労働者が占める。雇用が安定し、適正な処遇を受けることで社会保障制度も成り立つ。新しい雇用の創出が最初に行わなければならないのに、それを置き去りにして労働移動支援策への転換や、雇用・解雇ルールの規制緩和、労働分野の規制緩和が議論されていることについて、国民は不安に思う。社会全体が不安になれば消費増税にも否定的にならざるを得ない。

3点目は増税したときの様々な課題。たとえば低所得者に対する対策だとか、駆け込み需要から消費が落ちる事への対策を万全にしなければならないし、所得税・資産課税の累進制、所得の再配分機能をより強化するような策を一緒に出すべきではないか。

4点目は、法案作りの時に「国民に負担を押しつけるなら自らが身を切らなければならない」として3党合意した国会議員の定数削減。どうも棚上げになっているように思う。これらのことはすぐに解決できないものもあり、議論して方向付けしてほしいと申し上げた。

(前提条件は)これがずれてるから0点というものではないので、方向付けが議論されるというのであれば、法案通りに実施していくべきだというのが基本だ。

(増税の)影響が大きくなる部分については手当てをしなければならない。駆け込み需要でも、低所得者をどうするかも含めて手当てを打たなければならない。

(連合内では)法案を通したときにきちんと組織で論議して賛成してきた。675万人に1人1人聞いていけば違いはあるが、大きな方向については確認をしていると認識している。

古市憲寿・社会学者

今の消費税議論があまりにも若者世代や現役世代に目が向いていないんじゃないかという議論をした。気持ちは分かるよというような感じで好意的には受け止めて頂いたが、会議の参加者がおじさん中心だったのでどこまで届いているかわからない。

(増税は)条件付きで賛成だ。ただ増税に関する中身の議論があまりにされていない。そもそも「なぜ消費税が上がるのか」という議論が不足している。増税分に関しても5%上がっても若者や少子化対策にほとんどいかない。現代の増え続ける高齢者に対する社会保障に対してのみ使われてしまうだろうという危機感、問題意識を申し上げた。

(賛成理由は)日本の租税負担率が他の国に比べて低いので、上げる余地がある。社会保障なり少子化対策なり、これからの日本の持続可能性を考える上において、消費税は租税科目として上げる余地があるだろうという判断だ。

(来年4月の増税は)上げやすいタイミングだと思う。アベノミクスとセットで増税が外国から認識されている。国民の世論調査でも完全に反対という割合がそこまで多くない。

増税自体に反対はしないが、きちんとした物語が必要。どんな理由があるのか、税を上げるということは、国のこれからを考えることだ。日本はもっと大きな国家になりたいのか、それとも小さな国家のままでいきたいのか。これからの国家像を無視して、ただ増税議論だけが先走ることに関してはすごく疑問がある。

日本の場合、高齢者介護も家族が担ってきたから縮小することは難しいが、少子化に対する意識が低い。本来なら第3次ベビーブームが起こってもいいような時期だ。ちょうど団塊ジュニアが出産適齢期にもかかわらず、合計特殊出生率が1.41しかないのは危機的な状況だ。よくグローバル人材とか、2050年の日本とか勇ましいことを語るけど、人材がいなければ国は成り立たない。教育や社会保障など、人々が再生産するために必要なところにお金を振り分けるべきだという話をした。

 増田寛也・東大大学院客員教授

4月に予定通り3%引き上げるべきだと主張した。社会保障財源を確実にして将来世代の負担を回避すべきだ。国際的にに引き上げると決めたことをきちんと実行するかどうかが大事。今まで長らく「決められない政治」が日本のリスクとして言われてきたので、やはりきちんと決めたことを実行するということを見せることが必要だと申し上げた。

景気に対する影響もあるので、きめ細やかな対策をとっていく。例えば補正予算なども必要になり、使い道にも議論がある。ただ直近の経済指標をみれば、決して数字は私は悪くないと思う。失業率も比較的低位で安定している。国内総生産(GDP)も4~6月期の数字は決して低くない。この時期を逃すと一体いつ引き上げるんだ、ということになる。その間に若い人の負担がどんどん増えていく。国民にとっては大変厳しい選択ではあるが、消費税を引き上げていくべきだと申し上げた。

景気についてはマイナスの影響が出ることは極力避けるべきだ。デフレ脱却は最優先すべき課題だからだ。財源をどうするかの問題はあるが、補正予算を組んで解消していかなくてはならない。安易に公共事業を行うというようなことではなく、将来につながるような予算の中身を国会で議論していくべきだ。(足元の景気に)影響が出る出ないの問題よりも、もっとマイナスの影響が将来負担へのツケとして出てくる。一刻も早くそれを除去しなくてはいけないと思う。

基本は法律通りに増税すべきだが、8%に上げた後にもう一度よく精査する必要がある。今は私は10%に引き上げるべきだと思う。毎年1%ずつ上げる案について中小企業の方々に聞くと、痛みとしては少ないが、作業量として煩雑であり、商品価格への転嫁が難しいという声が多かった。上げる時期が遅くなればなるほど赤字国債を発行しなくてはならなくなる。そこまでは私はやるべきではないと思う。

 山根香織・主婦連合会会長

私は消費者の代表として今消費税増税をするのは断固反対だと述べた。給料も上がらない今の状態で増税を強行すれば、貧困や格差が必ず拡大する。私は素人なので学問的な数字や海外との比較はわからないが、安倍晋三首相には国民・消費者の暮らしの実態、生の声を受け止めてもらって最終判断してほしい。

私の述べたいことは申したが、この後どう安倍首相が判断するかは心配なところはある。

 米倉弘昌・経団連会長

予定通りの消費税引き上げが必要だ。持続可能な社会保障財政を守り、成長を持続させ日本の国力を維持させる。今度の20カ国・地域(G20)首脳会議で財政健全化を説明できなければ、日本の財政の信任は失われる。

国内外の市場参加者は予定通りの引き上げを前提にしている。出来なければ、株、通貨、債券のトリプル安が生じる可能性がある。消費にマイナスの影響を与えるかもしれないが、第3の矢、成長戦略の充実で回避できる。1%ずつ上げるとなると、財政再建のスピードが遅れる。15年の基礎的財政収支の赤字半減ができなくなる。

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