2019年8月25日(日)

黒田緩和 脱デフレ、心理面で効果も

2013/5/23付
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日銀の黒田東彦総裁は22日の金融政策決定会合後の記者会見で、長期金利の上昇抑制に尽力する姿勢を見せた。黒田緩和は市場のインフレ予想を強めるなど「期待心理」面では成果を見せる一方、長期金利を下げて銀行の貸し出しを促し、脱デフレにつなげるという当初の狙いへは道半ば。乱高下する長期金利を低位安定させ、実体経済にどこまで効果が波及するかで真価が問われる。

22日のニューヨーク市場では、一時1ドル=103円台後半まで円安が進んだ。円安を受け、23日の東京市場では日経平均株価が上昇し、再び長期金利が上昇傾向を強める公算が大きい。22日の記者会見で金利上昇の抑制に意欲を見せた黒田総裁は、早速手腕を問われる。

■すべては制御できず 「短期金利のようにすべてコントロールできるものではない」。記者会見の焦点は最近の長期金利の上昇に対して、黒田総裁がどう発言するかだった。これまで大胆緩和で「金利を押し下げる」と説明してきた黒田総裁は、この日は歯切れの悪さが目立った。

金利安定に向けた具体的な対応策にもあまり踏み込まなかった。「弾力的にオペ(公開市場操作)を行っていく」と述べ、対応は金融市場調節の現場に任せた格好だ。

そんな中で黒田総裁が「かなり明確だ」と自信を見せたのが、市場にまん延していた「デフレ期待」の転換という成果だった。22日の金融政策決定会合の声明文でも「予想物価上昇率については上昇を示唆する指標がみられる」と初めて期待インフレ率に言及した。

市場の物価予想を反映する期待インフレ率を示す指標のひとつである「ブレーク・イーブン・インフレ(BEI)率」は黒田緩和直前の1.3%台から1.9%台に上昇し、過去最高水準に達した。日銀が目標とする消費者物価指数上昇率の2%に近い水準まで物価が上昇するという市場の予想を示す。総裁は「期待に働き掛ける効果は十分ある」と力を込めた。

■預貸ギャップは過去最大 今後、物価を安定して上昇させていくには、まず需要を拡大し、デフレの背景となっている日本経済の供給超過状態を解消していく必要がある。日銀は長期国債を大量購入する緩和策で長期金利を押し下げ、企業や個人の借り入れコストを軽減。民間部門の投資を引き出して景気を刺激するという波及経路を描いていた。

しかし民間部門の投資不足を示す指標である銀行の預金残高と貸出残高の差(預貸ギャップ)は4月に約184兆円(平均残高ベース)と過去最大を記録。黒田緩和による資金供給を反映して銀行の預金が伸びても、それを元手にした銀行貸し出しがそれほど伸びていないことを示している。貸し出し増を通じて実体経済にお金が回り、日本経済が脱デフレへと向かう道のりの険しさを改めて印象づけた。

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