海外勢の国債保有残高、過去最高に 9月末86兆円
日銀が21日発表した2012年7~9月期の資金循環統計(速報)によると、海外投資家が持つ日本国債の9月末の残高は86兆円と過去最高となった。前年同期に比べ11%増えた。欧州債務危機や米国の「財政の崖」問題などがくすぶる中で、比較的安全な資産とみなされている日本国債に資金が向かっている。
国債の残高に占める海外勢の保有比率は前期を0.4ポイント上回る9.1%で過去最高。海外投資家の保有が増えれば、国内の投資家だけに頼るよりも市場での安定した消化につながる。半面、海外には短期間で巨額の資金を動かす投資家も多い。日本の信用を揺さぶるような情報をきっかけに海外勢の売りが膨らむと、長期金利の変動が大きくなるとの見方もある。
日銀の保有額も急増。9月末で前年同期に比べ22%多い105兆円となった。量的緩和を実施していた05年3月末の99.7兆円を上回り、初めて100兆円の大台を突破した。残高全体に占める比率は前期より0.9ポイント高い11.1%に上昇した。金融緩和の強化を目的に大量の国債を市場から購入したためだ。
家計が持つ金融資産は9月末時点で1510兆円となり、前年に比べ1.4%増えた。このうち現金・預金は1年前より1.9%多い840兆円。過去最高だった6月末に比べると小幅に減ったものの、高い水準を保っており、手元にお金を置く姿勢がなお目立つ。
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