「休眠預金」を公的事業に 与党が議員立法へ
銀行も容認姿勢、使い道は定まらず

2014/1/21付
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諸外国の休眠預金の活用例
休眠
期間
移管先活用方法
米国※3年間州政府州の予算
フランス10年間預金供託公庫国家の予算
英国15年間政府系のファンド各地域で社会・環境目的に使用
韓国5年間財団法人福祉事業者への貸付支援

(注)※は州単位。上記はニューヨーク州の場合

金融機関で10年以上も取引のない「休眠預金」を公的な使い道に回す議論が再び広がってきた。自民、公明両党が今通常国会への議員立法の提出を検討し、銀行界は容認姿勢に転じた。預金保険機構の活用案も浮上している。ただ、集めたお金を何に使うのかという肝心の点が詰まっていないため曲折も予想される。

休眠預金を特定の政策にいかす論議の起点をつくったのは前民主党政権。2012年2月に新産業の育成などに使えないか探り始めた。この時は、法制度が未整備だったことを理由に銀行界が慎重姿勢を示した。

年間で500億円ともみられる休眠預金を活用できれば、やり繰りに悩む財政に一定のプラス効果をもたらす見込みだ。与党側は議員立法で制度を整えることや、過去の口座にさかのぼって適用しない方針で基本合意。預金者から申し出があれば、いつでも返還する点も確認した。制度を受け入れやすくするための措置がそろってきたとの判断から、銀行界は容認姿勢に転じた。

休眠預金の活用を巡る議論が再燃してきた(大手銀行の預金通帳)

休眠預金の活用を巡る議論が再燃してきた(大手銀行の預金通帳)

与党の素案によると、金融機関の休眠預金を移す方法としては金融機関に一定の手数料を払ったうえで国の預金保険機構に移管する案が有力だ。払い出しを求める預金者への対応は、金融機関が代行する形をとる。

機構に移したお金の分配法は固まっていない。与党案も「国が主導」「民間団体に一部委託」「都道府県に委託」の3つを併記し「1つに絞られていない」と与党幹部も認める。集めたお金をどの分野に使うかを巡っては民主党が案を練った新事業への支援のほか、母子家庭や貧困層への支援などを想定した福祉事業、東日本大震災の復興事業などが浮上している。「意見はバラバラ」(政府幹部)の状態だ。

与党主導で進む作業に、政府の窓口となる内閣府には戸惑いも広がる。預金者の敏感な反応が予想され、無駄な使い方を防ぐための仕組みも必要。「通常国会に間に合うのか」との声も漏れる。一方で菅義偉官房長官が制度化に前向きとの見方が流れており、「与野党で反対する政党はないはず。決まる時は一気に決まる」(金融庁幹部)との見方も出ている。内閣府は今後、欧米などの例も詳しく検討する。

政府の鈍い動きを横目に与党が進めた金融関係の立法には前例がある。振り込め詐欺で使われた預金口座を停止し、被害者に返還したり、特定できなかった不明金を公益活動に回したりする振り込め詐欺救済法は議員立法だった。同様の政治主導の決着を予想する声も出ている。

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