8月貿易収支、2カ月連続赤字 欧州向けが最大
財務省が20日発表した8月の貿易統計速報(通関ベース)は輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支が7541億円の赤字となった。赤字は2カ月連続。中国や韓国向けに鉄鋼などの輸出が落ち込んだほか、政府債務危機に揺れる欧州連合(EU)との貿易赤字が過去最大に膨らんだ。海外経済の減速を背景に赤字基調が続いている。

赤字額は8月としては昨年についで過去2番目の大きさで、事前の市場予測(約8200億円)より小さかった。
輸出は前年同月比5.8%減の5兆458億円。3カ月連続で減少した。EU向けが自動車や船舶を中心に22.9%減ったほか、中国向けも鉄鋼や自動車用エンジンなどの減少が響いて9.9%減と3カ月連続で減った。米国向けは自動車部品や原動機が引き続き伸びて10.3%増だった。
輸入は5.4%減の5兆7999億円。サウジアラビアなどからの原油が8.5%減った。輸入数量は微増したが、原油価格が前年比で下落したのが主因。液化天然ガスは昨年3月以来、初めて輸入数量が減少し、金額の伸びも6.2%増と前月までの2桁増から大幅に縮小した。
地域別の収支をみるとEUとの貿易赤字は962億円と過去最大になった。輸出減に加え、ユーロ安を背景にドイツからの自動車輸入が増えている。アジアとの貿易黒字は18カ月連続で減少しており、そのうち中国とは6カ月連続で貿易赤字が続いている。
みずほ総合研究所の山本康雄シニアエコノミストは「中国の内需刺激策もあって素材や機械類を中心に輸出は年末にかけて持ち直す」と予想している。ただ、燃料輸入は引き続き高水準で、貿易収支が黒字になるには時間がかかるとみている。