株主不在の川重解任劇を批判 日本取引所CEO
日本取引所グループの斉藤惇最高経営責任者(CEO)は18日の会見で、川崎重工業が当時の社長を解任して三井造船との経営統合交渉を白紙撤回した問題について、「株主というものが全く頭から消えているのではないか」と批判した。川重が統合交渉に関して過去の発表資料を訂正したことに関し、企業の情報開示ルールの見直しを検討していく意向も示した。
川重は4月22日に日本経済新聞が三井造船との統合交渉を報じた際、「そのような事実はない」とのコメントを公表したが、6月13日に「事実はある」と訂正した。
斉藤CEOは「会社が出す情報を信じて投資する人のお金のおかげで事業が運営できることを経営者は一番意識しないといけない。(統合は)かなり重要な情報なので正しく株主に伝えていただきたかった」と述べた。
日本取引所は川重の情報開示について「詳細を調査中」(斉藤CEO)という。金融審議会が昨年12月に発表前に重要事実が報道された際に企業がより踏み込んだ情報を開示するような環境整備を取引所に求めていることもあり、今回の問題を機に「専門家も交え、丁寧に(開示ルールの見直しを)検討していく」(斉藤CEO)。
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日本取引所は18日開いた株主総会後の取締役会で東京証券取引所、大阪証券取引所、自主規制法人の主要3子会社のトップ交代を決めた。東証社長に就任した大和証券グループ本社出身の清田瞭氏は新規上場誘致などを通じて「成長性の高い投資魅力のある上場企業を増やしたい」と述べた。
大証社長に就いた野村ホールディングス出身の山道裕己氏は日本の商品先物市場が縮小している点に触れ「商品先物市場の活性化に腰を据えて取り組みたい」と述べた。自主規制法人理事長に就いた元金融庁長官の佐藤隆文氏は「金融技術が日々進展するなか、環境変化に敏感でなければならない」と指摘し、内外の行政当局との連携や市場参加者との対話を重視する考えを明らかにした。