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3大損保の本業赤字、過去最悪に 12年3月期

損害保険会社が自然災害の多発による業績悪化に苦しんでいる。大手3グループが18日発表した2012年3月期決算は、本業の収益を示す保険引受損益が2603億円の赤字となった。タイ洪水に伴う保険金支払いが約5000億円に上ったのが主因で、赤字額は過去最悪の水準だ。主力の自動車保険も採算割れが続いており、収益改善が急務となっている。

最終損益はMS&ADインシュアランスグループホールディングスが1694億円の赤字。NKSJホールディングスは2期連続の最終赤字となり、最終黒字を確保した東京海上ホールディングスも前の期に比べ91%減の大幅減益となった。

昨年10月に発生したタイの洪水については日系企業の工場などへの被害が「想定以上」(MS&ADの梅村孝義専務執行役員)に膨らみ、復旧費用や休業中の損失補償がかさんだ。

3グループ合計の保険金支払いは5063億円(今期以降の支払見込額を含む)。業界全体で過去最大の支払いとなった1991年の台風19号(5679億円)に迫った。11年3月期の業績悪化の主因だった東日本大震災の保険金支払い額(損益に影響のない家計向けを除く)と比べても2.5倍の水準に達する。

法人税の税制変更に伴う繰り延べ税金資産の取り崩しも最終損益の押し下げ要因となった。各グループは保険料の引き上げなどで収入を伸ばし、保有株式の売却も進めたが、巨額の保険金支払いを補いきれなかった。

13年3月期はタイ洪水の保険金支払い完了に伴う戻り益が発生するとし、3グループとも最終黒字を見込んでいる。過去2年苦しめられてきた自然災害の発生は「今期は平年並みを見込んでいる」(東京海上の玉井孝明専務取締役)という。

ただ、4月以降も強い雨風を伴う「爆弾低気圧」や竜巻などで予想外の保険金支払いを強いられている。MS&ADが大型災害に備えるため今期中に1千億円の異常危険準備金の積み増しを計画するなど、体力回復を優先する動きもある。

保険料の約半分を占める自動車保険は3グループとも赤字体質から脱し切れていない。各社は今年10月をメドに、事故を起こした契約者の負担を重くする新たな保険料体系を導入するが、すぐに収支改善に結びつくわけではない。一段の経費削減も迫られそうだ。

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