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原発事故でなぜ円高? ドル買い・海外投資に慎重

企業も国内資金を確保

今月11日に発生した東日本巨大地震は日本経済への大きな影響が懸念され、東京電力の福島第1原子力発電所では重大事故が起きているが、外国為替市場では円相場が上昇している。16日は海外市場で一時1ドル=80円台前半まで円が買われた。地震後になぜ円高なのかをまとめた。

Q 地震や原発事故は日本経済に打撃なのに、なぜ円が買われるの?

A 日本は経常黒字国なので、海外に製品を輸出して得た売り上げや、海外で保有する証券から得た利子や配当などが、日常的にドルから円に換えられている。一方で、国内の投資家は海外に投資するために円をドルに換えている。

普段は円買いと円売りがある程度釣り合っているので、円相場が安定している。だが、国内投資家が海外への投資に慎重になるとバランスが崩れ、円高が進みやすくなる。このため、今回の地震のように投資家の不安心理が高まる局面では円高に振れやすい。

Q 日本の損害保険会社が保険金支払いに備えて円買い・ドル売りを進めているとも言われるね。

A 実際には、保険会社の円買いは少ないと言われている。ゴールドマン・サックス証券の試算によると、国内損保業界の支払予想額は6千億円強。大手3社の手元資金は1兆円近くあるため、わざわざ海外の資産を売って国内に資金を戻す必要性は低い。

ただ、被害がどこまで拡大するか分からないため、「損保の円買い」がまことしやかに語られている面もある。実際のお金の動きというよりも、投機が円相場の動きを大きくしているといえる。

Q 企業のお金の動きはどうなっているの?

A 市場参加者によると、海外に蓄えていたドルを円に戻す企業が目立つようだ。国内生産の回復に必要な資金を確保するための動きとの見方もあり、これが円高の一つの理由なのは確かだ。

もっとも、しばらくは国内生産が落ち込むため、輸出が鈍る一方で、輸入は増えるとみられる。貿易収支が悪化すれば、円相場の潮目が変わる可能性も否定できない。

Q 阪神大震災の後も円高が進んだというよ。

A 日米経済摩擦が激しかった当時と単純には比較できない面もある。市場では政府・日銀の円売り介入への警戒感が広がっている。非常時であるだけに「米欧も円売り介入に理解を示すのでは」との見方が浮上している。日本の財政悪化への懸念も強まりつつあり、円の上値が次第に重くなる可能性もある。

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