12生保が減益・赤字 4~6月期、株安・低金利で運用悪化
主要生命保険13グループの2012年4~6月期決算は、本業のもうけを示す基礎利益が12グループで減益か赤字となった。株価下落と金利低下で運用成績が悪化したのが主因で、経営の健全性を示すソルベンシーマージン(支払い余力)比率も9グループで低下した。
基礎利益は13グループ合計で前年同期に比べ、28.8%減となった。欧州債務問題への不安が再燃し、株安と長期金利の低下が同時に進んだことで利息・配当収入が減少。相場下落に伴う変額個人年金保険の責任準備金の積み増しも収益を圧迫し、三井生命保険は基礎利益が103億円の赤字となった。米メットライフアリコも円高で為替差損が増え、最終赤字に転落した。
前年同期にあった東日本大震災関連の保険金支払いの戻り益がなくなった影響もあった。
株式の保有比率が高い日本生命保険が2261億円の有価証券評価損を計上するなど、株式の評価損も膨らんだ。日本生命は自己資本の一部である危険準備金を1780億円取り崩して前年同期並みの利益を確保。朝日生命保険も価格変動準備金を467億円取り崩して、最終黒字を確保した。
一方、保険料等収入は13社合計で11.5%の増収だった。住友生命保険は銀行窓口での一時払い終身保険の販売が好調で、28.3%の増収となった。ただ、前年度に銀行窓販が大きく伸びた明治安田生命保険が減収となるなど、窓販で売り上げが大きく左右される構図も鮮明になっている。
前期は日本生命と明治安田生命が、運用利回りが予定利率を上回る「順ざや」となるなど財務体質の改善が進んだ。しかし、4月以降の歴史的な超低金利で第一生命保険の「逆ざや」が前年同期より約70億円拡大するなど、長期運用を本業とする生保にとって厳しい経営環境になっている。市場環境が改善しなければ、今後逆ざやが再び膨らむ懸念もある。
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