私的整理活用で企業再編 政府が金融活性化へ提言書
財務省と金融庁は12日午前、金融・資本市場活性化に向けた提言書を正式に発表した。昨年12月に金融版の成長戦略をまとめており、その第2弾となる。企業の競争力を強化するため、私的整理のルールを緩和して、新陳代謝や再編を促す。家計の金融資産を成長資金に振り向ける投資活性策も柱で、月内にまとめる政府の成長戦略に盛り込む。
提言書は(1)投資活性化(2)企業の競争力強化(3)アジア市場取り込み(4)ビジネス環境の整備――の4つの柱で構成した。投資信託の拡充・強化をうたい、運用業の規制緩和などを通じて投信の手数料を減らし、個人が運用益を得やすくすることも盛り込んだ。有識者会合の幹事役を務める伊藤隆敏東大教授は同日の記者会見で「金融資産を成長分野に振り向ける改革をすべき時期だ」と語った。
企業の競争力強化は海外で勝ち抜く必要のある「グローバル企業」と国内を守る「ローカル企業」に分けて、打つべき政策を整理した。安倍晋三首相が表明した企業統治指針(コーポレートガバナンスコード)の創設と、私的整理の一種、事業再生ADR(裁判外の紛争解決手続き)の成立要件を「全員一致」から「多数決」に緩めることがそれぞれ柱となる。私的整理の緩和は企業が転業や廃業を選びやすい環境づくりとなる。
昨年末の提言では貯蓄から投資へ資金を動かす柱として、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用見直しを柱に据えた。今回は信託銀行や生命保険会社、アセットマネジメント会社など民間の運用業者の意識改革を促した。なるべく高い運用成績を出せるように、運用者の実名や成績を公表するよう業者に義務付け、どの投信が運用益を稼げるか、投資家が判断しやすくする。