郵政肥大化へ「仕掛け」随所に 改革法案を調整
新事業参入拡大も

2010/4/11付
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郵政事業の見直しを巡って、政府は「郵政改革法案(仮称)」の20日の閣議決定に向けて、細部の調整に入る。郵便貯金の限度額引き上げなど逆行色の強い方針がすでに打ち出されているが、亀井静香郵政・金融担当相はさらに、ゆうちょ銀行やかんぽ生命保険が新規事業にも参入しやすくする仕組みを検討中と伝えられる。郵貯肥大化への「仕掛け」を随所に盛り込む内容といえ、民間の強い反発が予想される。

政府はすでに郵便貯金の預入限度額を現行1000万円から2000万円に、簡保生命保険の契約限度額を同1300万円から2500万円に引き上げることを決めている。焦点のひとつは引き上げの実施時期だ。

限度額の変更は政府の政令改正で可能だ。郵政相は6月にも予定している法案の成立時に政令を改正し、限度額を引き上げる意向。その後、来春に想定している法施行時に郵貯や簡保への資金シフトの動向を踏まえ、限度額を再び見直す余地を残している。ただ、限度額の引き上げは郵政の収益性向上と不可分だけに、大量な資金移動が確認されない限り、限度額を引き下げることは難しそうだ。

本来は法案に盛り込むべき事柄なのに、政治的な配慮から見送る項目もある。政府は持ち株会社への出資比率を30%超とすることを決めた。だが、現在100%の比率をいつまでに30%超に引き下げるのか、郵政相は法案に明示しない考えを表明している。日本郵政が金融などの全国一律サービスをしっかり維持しているか、株主として監視するためという。

小泉政権の郵政民営化は2017年までに完全民営化を実現するという目標を掲げたことに大きな意味があった。郵政民営化の抜本的な見直しを標榜(ひょうぼう)する連立与党の国民新党が50%超の出資比率の維持を主張してきており、郵政相は代表を務める同党への配慮もにじむ。これでは、政府の100%出資が長期間継続する可能性は排除できず、その間は「明確な政府保証」が付くことを意味する。

政府は、ゆうちょ銀行やかんぽ生命保険が新規事業を始める場合、規制の厳しい認可ではなく、届け出制にすることを法案に盛り込む方向で検討している。現在は総務相や金融庁の認可が必要だが、住宅ローンやがん保険などに進出しやすくなる。政府の郵政見直しによって、郵貯や簡保の合計で300兆円近い資金はさらに膨らむことが濃厚だ。膨大な資金の運用方法を巡り、政府・与党の議論は深まっていない。

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