ビットコインは金融規制枠外 政府見解、流通は容認 - 日本経済新聞
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ビットコインは金融規制枠外 政府見解、流通は容認

利用者保護が課題

政府は7日、インターネット上の仮想通貨「ビットコイン」の初の公式見解を発表し、「貨幣」「金融商品」でないことを明確にした。厳格な金融規制の枠外にしたため、資金洗浄(マネーロンダリング)などの把握は難しいままだ。利用者は自己責任が求められ、消費者保護の実現も遠い。政府は新しい規制の議論を急ぐ方針だが、実効性をどこまで高められるか課題が残る。

「必要があれば、対応を検討する」。菅義偉官房長官は7日午前の記者会見で、取引ルールの作成を検討する考えを表明した。先月末に取引所大手の「マウントゴックス」が経営破綻し、時価で最大500億円規模に上るビットコインと顧客からの預かり金が消失した。利用者の99%が外国人で、全世界の注目も集めており、対応を迫られた格好ともいえる。

ルール作りの第一歩となるのが7日に決定した初の公式見解。民法で規定する「貨幣」、金融商品取引法で定める「金融商品」ともに「該当しない」と明記した。ロシアのように取引を全面禁止するのではなく、日本国内で流通することを一定程度認める内容だ。

背景にあるのは「国家や中央銀行の信用で生まれたわけではない」という考え方。貨幣と認め、金融商品と同じように扱えば、高い参入規制や強い罰則を課し、国家が積極的に介入することになる。米国や英国などの金融当局・中央銀行はこの点を踏まえて、存在を黙認する。日本は米英と似たような立場を選んだ。

政府が初めて明らかにしたビットコインの見解
ビット
コイン
金など
貴金属
通貨
銀行で両替不 可可能
ファンドを組成可 能
売却益を税務申
告せず
脱 税
証券会社が取引
仲介
承認が
必要
届け出
が必要
可能
資金洗浄に利用不 可

ただ、東京・渋谷を拠点にするマウントゴックスの破綻では500億円程度の被害が発生する恐れがある。日本を舞台に利用者被害が起きており、被害がほかでも起きないよう銀行や証券会社による取り扱いを事実上禁止。資金洗浄など、収益を隠したりだましたりしたケースについて、「犯罪が成立することがある」と厳罰姿勢ものぞかせた。

税務当局は実態を追認せざるを得なくなった。マウントゴックスの取引価格も2013年3月13日の終値が1ビットコイン=46ドル程度だったが、今年1月5日には1015ドルまで急騰した。多額の売買益を得た利用者も少なくないはずだが、こうしたビットコイン長者は所得税を納付していない公算が大きい。徴税の公平性を脅かされると考え、政府は所得税、法人税、消費税を例示し、「課税対象になる」との見解を急いでまとめた。

ただ、問題は実際にどれだけ収入やもうけがあったのか、税務当局が把握しにくい点にある。ビットコインは匿名性が高く、金融機関を通さないで取引できるためだ。お金やモノの流れからある程度、不正は見抜けるものの「捕捉が難しいのは確か」(国税庁)。確定申告のような形で自主申告するかどうかは不透明な面がある。

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