社会保障給付費、最高の107兆円 11年度、高齢化と震災で
国立社会保障・人口問題研究所は6日、年金や医療、介護などにかかった社会保障給付費が2011年度は前の年度比2.7%増の107兆4950億円になったと発表した。高齢化に加え、11年3月の東日本大震災に伴う災害救助などの支出が増えたため、過去最高を更新した。増大に歯止めがかからない状況で給付の抑制が急務だ。
社会保障給付費は、社会保障の費用のうち税金や保険料で賄った分で、自己負担分は除く。国民所得に占める割合は31%で、過去最高となった。国民1人当たりに換算すると84万1100円で、前の年度に比べて2.9%増え(金額で2万3700円増)、こちらも過去最高を更新した。
個別項目でみると、高齢化に伴って受給者が増えた年金が53兆623億円(前の年度比0.2%増)で49.4%を占めた。次が医療で34兆634億円(前の年度比3.5%増)だった。震災関連の給付費は災害救助費が5200億円、震災関係の緊急雇用創出事業が3700億円と、例年に比べ支出が大幅に増えた。
病院などの設備整備費なども加えた「社会支出」の総額も112兆437億円で過去最高だった。国内総生産(GDP)に占める社会支出の割合は23.67%。比較可能な09年度のデータで欧米各国と比べると、米国(19.45%)よりは高い一方、フランス(32.41%)よりは低かった。
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