野村、2四半期ぶり黒字 10~12月純利益178億円

2012/2/1付
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野村ホールディングスが1日発表した2011年10~12月期決算(米国会計基準)は純利益が前年同期比33%増の178億円となり、2四半期ぶりに黒字に転換した。外食大手すかいらーくの株式売却益を計上したほか、欧州と米国で債券売買業務の収益が回復した。ただ一時的な要因を除けば税引き前損益はトントンと本業の収益水準は低く、本格回復にはなお時間がかかりそうだ。

11年7~9月期は欧州債務危機で投資家のリスク回避姿勢が強まった影響などで、460億円の最終赤字と10四半期ぶりの赤字を計上していた。10~12月期で黒字転換したものの、11年4~12月期では104億円の最終赤字だった。

10~12月期は機関投資家向けに債券や為替などを売買する債券トレーディング部門の収益が717億円と前四半期比56%増え、収益の最大の押し上げ要因となった。この部門で米ゴールドマン・サックスは同期間に21%減るなど欧米勢は軒並み苦戦した。ある欧州系証券のアナリストは「欧州市場の混乱が続くなど投資家のリスク回避が続く中では野村は比較的健闘した」と指摘する。

本業の収益力を示す野村の税引き前利益は、10~12月期で前年同期比24%増の345億円。ただ11月に株式譲渡契約を完了したすかいらーくの株式売却益を約340億円計上したほか、「負債評価益」と呼ぶ自社の信用力悪化に伴う会計上の利益も約162億円発生した。これらの一時的要因を除けば税引き前損益は7~9月期からの赤字基調を脱していない。

決算発表を受け、株式市場では「野村の業績は昨年7~9月の最悪期は脱したが、本格的な回復期に入ったと判断するにはもうしばらく時間がかかる」(米系証券アナリスト)との声が多い。

1日記者会見した中川順子執行役は「(今年)1月に入ってからも債券トレーディング部門は引き続き好調で、全体の業績をけん引している」と説明する半面、「欧州を中心に厳しい市場環境はしばらく続きそうで、予断は許さない」とも指摘。昨夏に着手した海外人件費を中心とする総額12億ドル(約910億円)のコスト削減を急ぐ考えを強調した。

野村は先月、米リーマン・ブラザーズ出身で法人向け業務を統括していたジャスジット・バタール副社長の辞任を発表。08年にリーマンから欧州・アジア事業を買収して以来、海外部門は10~12月期も税引き前で193億円の赤字と必ずしも期待通りの収益を上げていない。リーマンから買収できなかった米国での市場シェア引き上げを含め、海外事業の収益性の改善が引き続き野村の経営課題になりそうだ。

米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは昨年11月に「Baa2」と投資適格水準で下から2番目にしている野村の格付けを引き下げ方向で見直すと発表。月内に結果を公表する可能性があり、仮に格下げになれば資金調達コストの上昇を招くことになる。

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