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田知本遥、姉の分まで 負傷で「気持ち乱れた」

2012/8/11 7:00
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準々決勝で左肘を痛めて「気持ちが乱れた」という。田知本遥選手(22)の初舞台は苦い経験となった。敗者復活戦でも昨年の世界選手権2位の相手に力負け。悔しさを押し殺すように畳に視線を落とした。

女子70キロ級、敗者復活戦でオランダ選手に敗れた田知本=写真 佐光恭明

女子70キロ級、敗者復活戦でオランダ選手に敗れた田知本=写真 佐光恭明

田知本選手は幼い頃から、同78キロ超級の姉、愛(まなみ)さん(23)とともに技を磨いてきた。その姉は惜しくも五輪出場を逃し、「一緒にロンドンへ」という夢は幻に。「お姉ちゃんの分まで」。2人分の思いを背負い、ロンドン・エクセルの畳に立った。

富山県射水市出身の田知本選手が柔道を始めたのは小学校低学年の時。柔道選手だった父、又広(やすひろ)さん(48)に連れられ、姉妹で地元の柔道教室に通った。厳しい指導に何度も「やめたい」と思ったが、「お姉ちゃんと一緒だったから続けられたのかな」と母、由佳さん(49)は振り返る。

中学では「陸上をやりたい」という田知本選手を又広さんらが説得。迷いながらも姉のいた柔道部に入部した。中1で出場した全国大会でいきなり3位入賞。「将来はオリンピックに」と気持ちは固まった。

県立小杉高(同県射水市)でも姉妹は同じ畳で練習を重ねた。全国大会の団体戦と個人戦で優勝した姉の活躍を目の当たりにした田知本選手は、高3のインターハイで個人での全国制覇を達成する。2人を指導した同校の二瀬寛之さん(47)は「成績では姉が常に先をいっていた。刺激を受けていたはず」と話す。

左肘を痛めて臨んだ敗者復活戦で力負け=写真 佐光恭明

左肘を痛めて臨んだ敗者復活戦で力負け=写真 佐光恭明

高校卒業後は同じ東海大に。国際大会でアベック優勝も飾り「姉妹で五輪」の期待はいよいよ高まった。

だが、五輪選考会となった5月の全日本選抜体重別選手権では明暗が分かれた。初優勝で五輪出場を決めた田知本選手に対し、世界ランク1位で臨んだ78キロ超級の愛さんは準決勝で敗退。「逆の立場なら、何も言われたくないと思う」。放心状態の姉に、あえて言葉をかけなかった。

母、由佳さんは「(五輪に)行ける子より、行けなかった子の気持ちを大事にしたい」と、愛さんを気遣ってきた。幼い頃から常に一緒だった姉妹。「愛がいなければ、今の遥はなかった。お姉ちゃんの分まで頑張って」。その母のエールに、結果で応えるつもりだった。

試合後、「特に緊張もしないで、わくわくして集中できた」と振り返った。ただ、「左肘を痛めて気持ちが乱れた。それでも勝つ戦術もあったけど、がむしゃらにいってしまった」という。22歳のホープ。周囲は4年後を見据えている。(東京社会部 鱸正人)

 女子柔道70キロ級。8月2日、敗者復活戦で有効を取られ敗退。

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