公的年金、4~6月期運用損2兆円 国内外の株価低迷響く
公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は31日、2012年4~6月期の運用実績を発表した。国内外の株式運用が振るわず、2兆690億円の損失を計上した。損失は3四半期ぶり。運用資産額は損失や年金給付のための取り崩しで3月末に比べて5.4兆円減り、108.1兆円となった。
GPIFは国民年金と厚生年金の積立金を運用しており、国内外の株式と債券に分散投資している。財投債を含む運用資産全体の利回りは、マイナス1.85%だった。市場運用する資産の収益額を四半期ベースでみると、自主運用を始めた01年度以降で過去6番目に悪い成績となった。
運用資産別では、国内株式は運用利回りがマイナス9.83%、1兆3944億円の損失となった。外国株式もマイナス7.55%、9833億円の損失を計上した。米景気減速や欧州債務危機の再燃が懸念され、株価が下落したのが響いた。
一方、債券はリスクを回避する投資家の資金が集まり、金利が低下(債券価格は上昇)。国内債券は6041億円の運用益を確保した。外国債券は、米国債やドイツ国債などで債券価格が上昇したが、円高による為替差損が生じ、3433億円の損失となった。
GPIFは年金受給者の増加に伴い、09年度から積立金を取り崩して給付に充てている。運用資産の減少は、年金給付に直ちに影響することはないが、積立金の目減り は将来見込んでいる運用益の達成を難しくする恐れがある。
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