アジア広域FTA交渉開始で合意 日中韓など16カ国
15年末の妥結めざす

2012/8/30付
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【シエムレアプ(カンボジア北西部)=伊藤学】東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓など16カ国は30日、アジアの広域自由貿易協定(FTA)の交渉開始で合意した。実現すれば、世界の国内総生産(GDP)の3割弱を占める自由貿易圏が誕生する。日本企業にとって輸出・投資の拡大や、最適なサプライチェーン(供給網)構築を後押しする可能性を秘める。

ASEAN10カ国と日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの6カ国は同日、広域FTAを協議する拡大経済相会議をカンボジア・シエムレアプで開催した。

11月の東アジア首脳会議で各国首脳が交渉開始を正式に宣言することで16カ国が合意した。来年の早い時期に交渉入りし、2015年末の妥結を目指すことも決めた。関税障壁撤廃だけでなく、知的財産権や投資環境整備なども盛り込む。

領土問題でぎくしゃくする日本と中韓の関係も懸念されたが、「経済問題は政治問題と切り離す」(韓国の朴泰鎬通商交渉本部長)との考えで3カ国が一致。巨額の対中貿易赤字を抱え、FTAに慎重だったインドも「(貿易赤字は)2国間の問題。FTAには前向きに関与する」(同国のシャルマ商工相)と足並みをそろえた。

広域FTAはアジアに進出する日本企業に大きな利点がある。各国で異なる関税が軽減・統一されるため、国をまたいだモノの流れが円滑化し、サプライチェーンの最適化が進む。中国、インドとタイで自動車用部品の相互融通を始めた日産自動車は「(広域FTA締結で)輸出入がやりやすくなるのは大歓迎」(アジア・パシフィック日産自動車の木村隆之社長)と話す。

広域FTA締結が日本のGDPに与える押し上げ効果は1.1%。環太平洋経済連携協定(TPP)の0.54%より大きい。ただ、貿易の自由化率など数値目標は交渉開始後に本格協議する見通し。16カ国の思惑が異なるなか、妥結への道のりには曲折も予想される。

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