鹿野氏、上着脱ぎ合図 決選投票直前「野田氏に票を」
海江田陣営、強引な切り崩し裏目に
29日の民主党代表選は、決選投票を巡る野田佳彦財務相、海江田万里経済産業相の両陣営の戦略が明暗を分けた。1回目で過半数確保を目指す海江田陣営の戦略は反発を浴び、野田陣営は「下位連合」を前提に2位確保に全力をあげた。

29日午後、都内のホテルに設けた代表選会場。決選投票に残った2候補の演説直後、1回目で落選した鹿野道彦農相が座ったままスーツの上着を脱いだ。約30人の支持議員に「野田で行く」ことを伝えるサインだった。その後の投票で同陣営の議員約30人は野田氏に流れた。
「1回目が伸び悩んだ」。海江田陣営幹部は決選投票後にこう漏らした。投票前日には160票近くを確保したと分析。決選投票になっても、鹿野道彦農相の陣営や馬淵澄夫前国土交通相の陣営の支持を得て過半数に達し、勝利するシナリオを描いた。
しかし小沢一郎元代表の支持グループ議員らが浮動票確保のため、若手らに積極的に接触したことが逆に「高圧的」という受け止めを招き「浮動層」獲得が進まなかった。鹿野陣営も反発し、決選投票で同陣営の議員約30人は野田氏に流れた。馬淵氏は約20人の支持議員に、自らは決選投票で海江田氏に投票すると伝えたが、まとまり切れなかった。
野田陣営は決選投票に向け、前原陣営との連携を重視した。28日には選対顧問の岡田克也幹事長が前原陣営の仙谷由人代表代行と意見交換した。菅直人首相の支持グループの多くが支援に回るなど、巻き返したが、前原陣営と支持層が重なるため、1回目の得票は読み切れないまま投票日を迎えた。
前原陣営は28日夜、70~80票の確保を見込んでいたが、投票当日に上積みできなかった。中間派や浮動層の中には、同陣営幹部の仙谷氏らへの反感から、距離を置く向きもあった。野田陣営は28日に90票程度まで追い上げ、最終的には3ケタにのせた。