2017年11月21日(火)

首相、野党より身内を警戒 不信任案対応
造反予備軍切り崩し狙う

2011/5/29付
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 【ブリュッセル=永井央紀】菅直人首相は28日に一連の外交日程を終えた。帰国した首相を待ち受けるのは野党が提出をうかがう内閣不信任決議案への対応だ。首相の早期退陣を迫る民主党の小沢一郎元代表に会談を呼び掛け「造反予備軍」の切り崩しを狙う。警戒するのは野党よりも「身内」だ。

■打撃を最小限に

菅内閣発足後の菅首相と小沢元代表の会談
出席者主なテーマとその後
2010年 
8月31日
首相、元代表党代表選の無投票決着を探るも決裂
9月15日首相、元代表党代表選後の閣僚・党役員人事を巡る代表経験者との会談の一環
12月20日首相、元代表元代表に政倫審出席を要請するも拒否
25日首相、元代表、鳩山前首相、岡田幹事長、輿石参院議員会長ら連合の古賀会長が党内融和を呼びかけ設定
2011年 
2月10日
首相、元代表元代表の強制起訴を踏まえ自発的離党を促すも拒否
3月19日首相、元代表、鳩山氏、前原氏東日本大震災と原発事故への対応について首相が協力要請

 「党として一致して行動できると信じている」。首相はブリュッセル市内で同行記者団と懇談した際「信じている」と5回繰り返し、民主党議員が不信任案に同調する可能性を否定した。元代表が首相退陣を唱えていることにも「今の状況でコメントすることは控えた方がいい」と論評しなかった。

 首相は不信任案への同調者がやむなく出た場合も政権への打撃を最小限にしたい。元代表との会談はその一環で、まず挙党一致による震災復興を訴える機会に位置付ける。決裂しても元代表が首相退陣を自己目的化している点を印象付けられるとの読みだ。造反予備軍への間接的な抑止効果を期待する。

 首相は党内をいたずらに刺激しないよう腐心するが、奏功する保証はない。昨年6月の菅政権発足以降、首相と元代表の会談から前向きな結果が出たことはなかった。鳩山氏側は「会談を拒む理由はないが、受けるかどうかは熟慮しなければならない」と話す。

 党執行部や首相に近い議員は正面突破論に言及する。

 岡田克也幹事長は28日、青森県弘前市で記者団に「全員で否決するのは当然だ」と強調した。元代表が米紙インタビューで不信任案同調に含みを持たせたことにも「残念だ」と非難した。野田佳彦財務相も同日、金沢市で講演し「粛々と否決して政治を前に進めなければならない」と主張した。

 「不信任案が可決したら衆院解散・総選挙だ。造反した人には刺客を立てる」。首相の側近議員の一人は解散をちらつかせるだけでなく、2005年の郵政選挙を引き合いに出す。選挙対応が難しい被災地からの批判も承知でこんな声を上げるのは、大量造反の予兆を感じ取っている裏返しかもしれない。

■否決でも関門多く

 「復旧、復興に資するためにどうしたらいいか、真摯に相談していきたい」。首相は同行記者団との懇談で、野党批判も自重した。11年度予算の執行に必要な赤字国債発行法案は、野党の反対で成立の見通しが立たない。

 不信任案を否決した後も自民、公明両党は首相が「政府の責任」と明言した赤字国債発行法案の扱いで揺さぶる構えだ。6月22日の会期末に向けて首相が乗り越えなければならないハードルはいくつもある。

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