原発、新規建設も不透明 山口県知事「上関」に難色

2011/6/27付
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運転停止中の原子力発電所の再稼働が遅れるなか、原発の新規建設計画にも不透明感が広がってきた。中国電力の上関原発(山口県上関町)について、山口県の二井関成知事が27日の県議会で計画に難色を示し、建設が大幅に遅れる見通しになったためだ。同原発は政府が昨年6月に策定し、2030年までの原発の14基増設を柱とするエネルギー基本計画に含まれていた。政府のエネルギー政策は一段と見直しを迫られる。

上関原発は海面を一部埋め立てて建設する計画だが、福島第1原発の事故を受け、工事は中断している。二井知事は同日、「国がエネルギー施策を示さない段階で新たな手続きに入ることはできない」と述べ、中国電に付与した来年10月に期限が切れる埋め立て免許の延長を認めない方針を表明した。

中国電は知事の発言を受け、「福島の事故を踏まえた徹底した安全対策を(建設)計画に反映させ、地域の皆さまにご安心いただける発電所となるよう、引き続き最大限取り組む」とのコメントを発表した。だが、埋め立て免許が切れる来年10月までの完工は不可能とみられ、上関原発の2018年の稼働計画は大幅に遅れる見通しとなった。

上関原発は1982年に当時の町長が誘致を表明。瀬戸内海に面する予定地周辺は漁業も主要産業で、漁業者の反対や法廷闘争などが誘致決定後も繰り広げられてきた。

二井知事は一貫して「国のエネルギー施策に協力し、地元の意向を尊重する」としてきた。今回の免許延長の不許可判断は、「上関原発を含む原子力発電の位置付けが不透明」なことを根拠とした。電源立地交付金を受ける予定の周辺市町議会が凍結などを求める意見書を出したことにも配慮して下した。

免許の付与は国の法定受託事務で、免許の延長は、国の権限か知事の権限かの議論もあった。だが二井知事は権限論争を切り離し、現時点の国の原子力施策下では知事の権限として延長を認めないと、踏み込んだ。

▼上関(かみのせき)原発 中国電力が山口県南東部の上関町長島に計画する原子力発電所。建設費約9000億円を投じ、原子炉2基を設置する計画。1号機は2012年6月着工、18年3月の営業運転開始を予定。2号機は17年度着工、22年度の営業運転開始を予定していた。

1982年に計画が浮上し、88年に上関町が誘致を申し入れ。01年に山口県知事が計画に同意した。09年12月に中国電が国に原子炉設置許可を申請したが、反対派住民らによる激しい抗議活動で海面埋め立て工事が停滞。東日本大震災の発生後は準備工事は中断している。

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