厚労白書に「長妻色」、冒頭に薬害肝炎で謝罪・反省
長妻昭厚生労働相は27日の閣議に2010年版の厚生労働白書を報告した。今年の表題は「厚生労働省改革元年」。旧社会保険庁の不祥事や薬害肝炎問題についての謝罪と反省を冒頭に明記する異例の内容で、厚労省改革への取り組みを前面に出した内容となった。
「率直におわびを申し上げます」――。白書は「はじめに」で年金記録問題と薬害肝炎を例示し、国民の信頼を失ってしまった事態を謝罪。続く第1章「厚生労働省の反省点」で使命感や責任感の欠如を認め、不信感の一掃に向けて「地道な努力を重ねていく決意」を表明した。
巻末に「厚生労働カルタ」を掲載したのも特徴だ。「安心し 働くために 労災保険」「無償です 医療の明細書 確認下さい」など。自らのホームページ上で政治姿勢をカルタで示している長妻厚労相の指示によるもの。厚労省の仕事を国民に広く知ってもらうのが狙いといい、切り取ってカルタ遊びができる。
社会保障政策の方向性では、労働市場、地域社会、家庭への参加を促すことを政策目的とする「参加型社会保障」の確立をうたった。従来の社会保障を「消費型・保護型」と位置付け、「消費されるだけで、何も生み出さない」と指摘。今後は本人の能力を最大限に引き出すことで、経済成長と両立させることを目指すという。
厚労相は当初、少子高齢化の進展に対応するための社会のあり方を「少子高齢社会の日本モデル」として掲載する方針だったが、政府内での調整がつかず、在宅医療や保育の先進例など参考事例だけを掲載した。