消費増税へ景気点検、財政・企業負担も焦点 有識者聞き取り

2013/8/27付
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消費増税の影響を検証する政府の集中点検会合が26日始まった。消費税率を予定通り2014年4月に8%に引き上げる影響やその緩和策について60人の有識者の意見を聞く。景気回復がどれだけ力強いとみるか、財政再建に向けた道がどれほど険しいかといった点で賛否が分かれる。60人の意見が消費増税の行方を左右する要因になりそうだ。

集中点検会合は総論、経済・金融、国民生活・社会保障、産業、地方・地域経済の5つのテーマに分けて開く。総論に関する26日の会合では、有識者7人のうち5人が予定通りの消費増税に賛成した。高齢化が進むなかで「社会保障財源を確保して、将来世代の負担を回避する」(増田寛也・東大大学院客員教授)といった意見や、「法律で決めた増税を撤回すれば国際的信用を失う」(経団連の米倉弘昌会長)と財政状況の危機感を訴える声が目立った。

主婦連合会の山根香織会長からは「給料が上がらないなかでの増税は貧困や格差拡大につながる」と増税に反対する意見も出た。ただ会合後に記者会見した甘利明経済財政・再生相は「中期的に消費税を5%のまま一切触らないことはあり得ない。どういう方法論が目指す方向に沿っているかを探っている」と話し、引き上げの時期や上げ幅が今後の議論の焦点になるとの見通しを示した。

この日の論点の一つが税率の引き上げ幅だ。日本経済研究センターの岩田一政理事長(元日銀副総裁)は来年4月から年1%ずつ10%まで引き上げることを提案。予定通り増税するよりも「消費に与えるマイナス効果が最も小さい」(岩田氏)という分析はエコノミストの間でほぼ一致する。

ともに内閣官房参与として27日以降に出席する浜田宏一米エール大名誉教授は「計画の1年先送りも考えなければならない」と時期の見直しを唱え、本田悦朗静岡県立大教授も毎年1%ずつの小刻みな増税を訴える。

ただ岩田氏も「純粋に経済面での話」と述べた通り、1%ずつの引き上げには実務的な難点もある。流通業を中心に値札の変更やシステム刷新といった企業の負担が膨らむ。そのうえ小幅な増税では中小企業が負担を価格転嫁できないとの見方も多い。また引き上げの幅や時期を変えるには法改正が必要になるため、秋の臨時国会で成長戦略の関連法案審議にしわ寄せがいく可能性もある。

意見が分かれる理由の一つは景気が増税に耐えられるだけ強いかどうかという判断の違いだ。4~6月期の実質国内総生産(GDP)の伸び率は前期比年率でプラス2.6%。増税を推進する立場からは「決して低い数字ではない」(増田氏)とのプラス評価が相次いだ。昨年末の安倍晋三政権発足以降、円安と株高というアベノミクス効果で、企業心理や雇用や消費者物価といった経済指標も改善している。

ただ将来の景気への不安は増税を推進する有識者も同じだ。山根氏を除く6人はいずれも増税に伴う景気の落ち込みを和らげるため、「駆け込み需要のあとの対策を万全にすべきだ」(古賀伸明連合会長)と指摘。岩田氏は増税の影響を緩和するため法人税や所得税の減税の実施を求めた。

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