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減反5年後廃止を決定 政府、コメ政策転換

政府は26日、「農林水産業・地域の活力創造本部」(本部長=安倍晋三首相)で、国が農家ごとに主食米の生産量を割り当てて価格を維持する生産調整(減反)を5年後の2018年度になくす方針を正式決定した。首相は「生産調整の見直しで農家が自らの経営判断で作物を作れるようにする農業を実現する」と述べた。1970年から40年以上続いてきたコメ政策を転換する。

環太平洋経済連携協定(TPP)をにらみ、農地集約を通じた農業の競争力強化を促すのが狙い。林芳正農相が本部で減反の見直し案を示し、了承した。減反は主食米の価格が下がるのを防ぐため70年に始まった。国が毎年11月に翌年のコメの生産目標を定め、都道府県や農協を通じて農家ごとに配分するのが柱だ。

政府は5年後から都道府県ごとのコメの需要予測や売れ行き具合、在庫状況の情報提供にとどめ、農家が自主的に経営判断してコメを作れるようにする。国による生産目標の配分は約50年で役割を終えることになる。

5年後を見すえて減反に協力する農家に配っていた補助金も段階的になくす。コメ農家の田んぼ10アール当たり年1万5000円を配っていた定額の減反補助金は、来年度から半分の7500円に減らして、4年間の時限措置にする。コメが基準価格を下回った時に差額分を翌年度に支給する変動補填交付金は来年度になくす。ともに財源は税金で、今年度は約1700億円を投入した。

一方で政府は主食米の作りすぎで米価が急落しないように対策をとる。減反に応じて飼料用米などの生産に転作した農家に配る転作補助金を増やす。飼料用米を作ると10アール当たり年間で8万円受け取るが、収穫量に応じて支払う仕組みを取り入れ、最大10万5000円にする。減反廃止で米価が急落するとコメ農家が打撃を受けるため、飼料用米の生産を促す。

農家の協力をとりつけるために、10アール当たり最大年5400円の新たな補助金も設ける。

農道の草刈りや水路の泥上げなどに協力した場合、「農地維持支払い」として10アール当たり年最大3000円を配る。農村の景観維持を手助けした場合には「資源向上支払い」として10アール当たり年最大2400円を支給する。いずれも自民党が政権公約で「日本型直接支払制度」として盛り込んだ。

政府は補助金の見直し後に農家の所得が全国平均で13%増えるとした試算を示している。減反見直しと同時に農家の収入を安定させる新たな収入保険を導入する方針で、農家の理解を求める。

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