年収低いほど手厚く 増税時の住宅購入者向け支援策
自民、公明両党は26日、2014年4月の消費増税時に導入する住宅購入者向けの給付制度の内容で合意したと発表した。住宅ローンの利用者なら年収制限を設けたうえで最大30万円の現金を支給する。現金で住宅を買う場合も50歳以上などの条件付きで給付する。年収が低いほど支援を手厚くし、消費増税後の住宅市場の落ち込みを防ぐ。

政府は今年末で期限切れとなる住宅ローン減税を4年間延長し、控除額を消費増税後に年間最大40万円に拡大することを決めている。ただ中低所得者は納税額が少なく税額控除による負担軽減効果が小さいため、現金の給付制度も追加する準備を進めていた。
新制度では年収の低い人ほど現金を多く受け取れる設計にした。ローンを組んで住宅を購入する人の場合、消費税を8%に上げる14年4月以降は年収425万円以下で30万円、同10%にする15年10月以降は年収450万円以下で50万円を給付する。住宅ローン減税の恩恵が小さい人の負担をより軽くする狙いだ。
例えば4000万円の住宅(消費税がかかる建物部分は2500万円)を購入し、3500万円の住宅ローンを組んだ場合、年収500万円の人は消費税が8%に上がってもローン減税の拡充効果と給付金を合わせれば、増税分の負担がほぼなくなる。消費税が10%に上がる時はローン減税の拡充効果だけだと60万円の増税負担が残るが、40万円の給付金を受ければ負担は20万円で済む。
今回は現金で住宅を買う人も給付対象に加えた。中高年層が退職金などを取り崩して現金で家を新築するケースも多く、こうした層の負担軽減も必要と判断したためだ。現金購入者への給付は「金持ち優遇」との批判もあるため、年齢が50歳以上で消費税8%時に年収510万円以下、10%時に年収650万円以下に限定。さらに省エネ性能などに優れた住宅を買う人に対象を絞る。
政府・与党は今夏までの合意を目指し給付の制度設計を進めてきた。自民党住宅・土地・都市政策調査会の金子一義会長は26日の記者会見で「最近急速に住宅の駆け込み(需要)が増えている」と指摘。給付制度の周知を急ぐことで、一段の駆け込み需要と反動減を抑える考えを強調した。
住宅業界団体は「現金給付は画期的な措置で大いに評価したい」(住宅生産団体連合会の樋口武男会長)と歓迎する。
一方、第一生命経済研究所の星野卓也エコノミストは「駆け込み需要を減らす効果は薄いのではないか」と分析する。給付制度は増税による負担増をすべて補填する仕組みではないためだ。給付制度で住宅市場の振幅をどの程度抑えられるか未知数の部分も残る。